The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Free Paper Oral

複雑心奇形

Free Paper Oral 37 (II-OR37)

Sat. Jul 8, 2017 4:15 PM - 5:05 PM ROOM 6 (Exhibition and Event Hall Room 6)

Chair:Tetsuya Kitagawa(Department of Cardiovascular Surgery,Institute of Biomedical Sciences,Tokushima University Graduate School)

4:15 PM - 5:05 PM

[II-OR37-05] 右房へ直接還流する稀なlevoatrio-cardinal veinを合併した心房中隔欠損を伴わない左心低形成症候群の2例

飯田 千晶1, 宗内 淳1, 渡邉 まみ江1, 長友 雄作1, 松岡 良平1, 白水 優光1, 岡田 清吾1, 城尾 邦彦2, 落合 由恵2, 城尾 邦隆1 (1.九州病院 小児科, 2.九州病院 心臓血管外科)

Keywords:左心低形成症候群, levoatriocardinal vein, 心房中隔裂開術

【はじめに】心房中隔欠損を伴わない左心低形成症候群(HLHS/IAS)は胎内から進行する肺血管閉塞性病変のためフォンタン手術への到達率は低く予後不良である。肺血流迂回路として約25%にlevoatriocardinal vein(LACV)を合併し、左房からSVC・INV等の主静脈経路に還流する。今回、肺静脈から右房へ直接還流する稀なLACV2例を経験した。
【症例1】在胎39週、2680gで出生した女児。胎児診断なし。生直後より重度呼吸障害・チアノーゼを呈し、HLHSと診断した。心エコーで右房へ還流する異常血管を認め、CTで左肺静脈から左房天井を走行し右房へ直接流入する異常血管を確認した。肺循環維持には不十分な交通と判断し、日齢1にBrockenbrough法による緊急BASを施行。ガイドワイヤーが異常血管に迷入しカテーテル操作に苦慮した。BAS後心房間圧差3→1mmHgへ低下した。生後3か月にNorwood術に到達した。
【症例2】在胎38週、2172gで出生した女児。胎児診断なし。動脈管閉鎖によるショック症状で緊急入院し、HLHSと診断した。PGE1大量投与で動脈管開通後もアシドーシス、呼吸不全が遷延した。心エコーで左房天井より右房へ直接還流する異常血管を認めた。日齢0にBrockenbrough法による緊急BASを施行。BAS後心房間圧差3→1mmHgへ低下した。手術待機中。
【考察】肺静脈起始部より左房天井を走行し右房へ直接還流する稀なLACV2例を経験した。心エコーでは一見すると卵円孔様だが、各画像評価から心房外を走行する血管であった。発生学的にLACVは主静脈経路へ還流するので、SVCと右房接合部へ還流するLACV亜型と考えた。この血管をバルーンしても全く拡大しないので、卵円孔と誤認しないよう注意が必要である。BASを行う際はこのLACV開口部とは別の場所に新たな欠損孔を作成する必要がある。興味深いことに十分な心房間交通作成後はこの血管は消退した。HLHS/IAS症例におけるこの稀なLACVを認識し、画像診断に臨むことが重要である。