第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

胎児心臓病学

一般口演 38 (II-OR38)
胎児心臓病学

2017年7月8日(土) 16:15 〜 17:05 第7会場 (2F 研修交流センター 音楽工房ホール)

座長:河津 由紀子(市立豊中病院 小児科)

16:15 〜 17:05

[II-OR38-01] 心房間狭窄を合併する左心閉塞性疾患の出生後早期治療を予測する因子の検討

金川 奈央, ホーンバーガー リサ, ウィニーフレッド サバド, コリン ティモシー, クー ニー (Fetal and Neonatal Cardiology Program, University of Alberta, Edmonton, Canada)

キーワード:左心閉塞性疾患, 心房間狭窄, 出生後早期治療介入

【背景】心房間狭窄(RAS)を伴う左心低形成症候群(HLHS)やcritical AS(AS)などの左心閉塞性疾患(LHO)胎児は、出生前から肺血管病変が進行していると言われ、出生後緊急治療を要する。しかし、胎児エコーにより直接卵円孔の形態を観察することでRASの程度を評価し生後緊急治療の必要性を予測するのは困難なため、間接的にRASを評価する方法が報告されてきた。それら評価法はHLHSに対するもので、ASに対しての有効性は不明である。今回それらの評価法がASにも適応可能か検討した。【方法】LHO64例(HLHS56例、AS8例)を対象とした。文献をもとに、肺静脈のDoppler forward/reverse velocity time index (F/R VTI) ratio <3、type C flow (短いto-and-fro flow) patternについて検討した。生後緊急治療は、生後12時間以内に開始されたカテーテル治療、ICU管理、手術と定義した。【結果】5人のASが生後緊急治療を要した。ASにおけるF/R VTI ratioの感度は0%、特異度50%、type C flow patternの感度0%、特異度66.7%だった。【考察】今回検討した評価法はASに対しては不十分であることが判明した。出生後緊急治療を要したASは最終的に単心室修復を施行していた。生後緊急治療を要さず、二心室循環を保っていたASは在胎24週に胎児治療を受けていた。RASを伴うLHOの肺血管病変は胎内から進行していると言われており、胎児治療が有効な可能性が考えられる。必要症例に適切なタイミングで胎児治療を施行するために、より早期に肺血管病変を診断するための評価法が、ASの長期予後に対して必要であることが示唆された。