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[II-OR39-05] 小児慢性特定疾患の医療意見書登録データに基づくフォンタン術後患者の疫学調査;第一報
キーワード:フォンタン手術, 単心室, 小児慢性特定疾病対策
【はじめに】先天性心疾患患者に関する全国規模の疫学調査の報告は少ない。小児慢性特定疾病対策(旧 小児慢性特定疾患治療研究事業)は先天性心疾患患者の医療費負担軽減に寄与し、治療を要する多くの患者が申請を行っている。現在、医療意見書データのデータベース化を行っており、調査研究のための利用が可能となった。【目的】小児慢性特定疾患の医療意見書登録データを使用して、フォンタン術後患者の疫学調査を行うこと。【方法】H24年度の登録データを用いて、下記のデータの解析を行った。1)患者背景(年齢、性別、疾患名)、2)患者の状態(チアノーゼ、体重増加不良の有無、NYHA分類)、3)治療状況(各種内服薬の投与、酸素投与、カテーテル治療の有無)、学校管理指導表区分【結果】慢性心疾患の登録数18589名の中、フォンタン術後患者は2862名であった。年齢は9.0±4.5歳、男/女は1619/1243名、基礎疾患は多い順に単心室30%、両大血管右室起始15%、三尖弁閉鎖14%、肺動脈閉鎖10%、左心低形成症候群9%、などで、内臓錯位症候群は9%であった。 患者の状態は、チアノーゼあり25%、体重増加不良あり29%、NYHA分類はI;25%、II;35%、III;4%、IV;0.4%であった。内服薬の投与が行われていたのは利尿薬;68%、末梢血管拡張薬;55%、βブロッカー;11%、強心薬;10%、抗血小板薬;74%、抗凝固薬;57%、抗不整脈薬;5%であり、酸素投与は13%、カテーテル治療は33%で行われていた。学校管理指導表区分はA;0.6%、B;4%、C;48%、D;19%E;17%であった。【まとめ】本研究により、本邦におけるフォンタン術後患者の現状がある程度明らかとなった。小児慢性特定疾患のデータ解析は、悉皆性の問題は残るものの、本邦の慢性心疾患患者の現状を把握する上で有用な情報となり得る。