The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

一般心臓病学

Poster (II-P17)

Sat. Jul 8, 2017 6:15 PM - 7:15 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Takashi Kuwahara(Division of Pediatric Cardiology, Children's Medical Center, Gifu Prifectural Medical Center)

6:15 PM - 7:15 PM

[II-P17-04] 当院で経験した乳児特発性僧帽弁腱索断裂の5例

鈴木 詩央1, 伊藤 怜司1, 森 琢磨1, 飯島 正紀1, 藤原 優子2 (1.東京慈恵会医科大学附属病院, 2.町田市民病院)

Keywords:僧帽弁腱索断裂, 僧帽弁閉鎖不全, うっ血性心不全

【背景】乳児特発性僧帽弁腱索断裂は生後5か月前後に好発するとされ、生来健康な児が非特異的な症状の後に急激な呼吸循環不全を来す。集中治療に反応せずに急性期に外科的治療を要する症例が多く、死亡率は8.4%とされ早期診断及び治療が必要な重篤な疾患である。一方で急性期に外科的治療介入を回避し、待機的治療を望める症例も存在するが、その詳細は不明なことが多い。
【目的】本症における治療介入時期の差異に影響を与えた因子を明らかにすること。
【方法】2005年1月から2016年12月までに当院で乳児特発性僧帽弁腱索断裂と診断した5例の経過を診療録から後方視的に検討し、治療介入時期に影響を与えた因子を検討した。各症例の心拍数、呼吸数、血圧、BNP、心胸郭比、EF、LVDd(% of normal)、僧帽弁輪径(% of normal)を入院時、加療開始1週間後、1か月後、退院時の時点で比較検討した。
【結果】対象は5例(男児2例、女児3例)、発症月齢は平均5.2±1.1か月であった。全例で先行感染を認め、前駆症状は哺乳力低下/嘔吐が4例、多呼吸が1例だった。急性期に肺出血から体外補助人工心肺を介し僧帽弁形成術を行ったのが1例、内科的治療に反応し待機的に僧帽弁形成術を施行したのが2例、経過観察中が2例であった。諸因子の比較検討では急性期に外科的治療介入を要した例で他の症例と比較し、入院時の心胸郭比が63%(平均51.5%)と拡大していたが、内科的加療を行った4例と外科的加療を要した1例で明らかな傾向は認められなかった。
【結論】当院では1例を除き内科的治療で心不全管理が可能となり、急性期の外科的治療を回避し、待機的に治療介入することが出来た。本検討では急性期の治療介入時期に影響を与える因子を明らかにすることは出来なかった。本症は最適な時期に外科治療が必要な疾患であるが、幼少時期での弁置換の可能性を考慮し、内科的管理が可能な症例では待機的治療も考慮に入れる必要性があると考えられた。