第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

一般心臓病学

ポスター (II-P17)
一般心臓病学 1

2017年7月8日(土) 18:15 〜 19:15 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:桑原 尚志(岐阜県総合医療センター小児科医療センター 小児循環器内科)

18:15 〜 19:15

[II-P17-06] ASD,VSDを合併しない小児の僧帽弁閉鎖不全症の治療経験

北 翔太1, 近田 正英1, 小野 裕國1, 杵渕 聡志1, 宮入 剛1, 麻生 健太郎2, 都築 慶光2, 水野 将徳2, 長田 洋資2 (1.聖マリアンナ医科大学心臓血管外科, 2.聖マリアンナ医科大学小児科)

キーワード:僧帽弁閉鎖不全, 弁形成術, 外科手術

(目的) 小児に於いて僧帽弁閉鎖不全症は、増加しつつある。近年成人の弁形成のテクニックが用いられるようになっている。最近我々は、ASD,VSDを合併しない小児の僧帽弁閉鎖不全症に対する形成術を5例経験したので、その経験を報告する。(対象と方法) 対象は、8歳の女児と6ヶ月、1歳、2歳、3歳の男児の全部で5例である。術前の状態は、3例がNYHA2で、NYHA3と4が1例ずつであった。超音波検査による僧帽弁閉鎖不全の程度は、grade3が1例で他の4例はgrade4であった。閉鎖不全の成因は 、Cleftが3例で認められ、腱索断裂が1例で、前尖の低形成が1例であった。弁輪拡大は、軽度から高度すべての症例に認められた。僧帽弁形成は種々のテクニックを用いて行った。Cleft閉鎖は2例に施行した。Kay法はすべての症例で併用した。2例ではedge to edge repairを用いた。人工腱索は2例で使用した。2例では僧帽弁リングを使用して弁輪縫縮を行った。(結果) 病院死亡、遠隔期死亡を認めていない。3例の再手術があり、1例は形成術後2年後に僧帽弁置換術が施行された。1例は術後1ヵ月後に再度弁形成が施行され、半周のリングを少し短くして弁輪縫縮を施行し、その後の経過良好である。1例は半周のリングを使用後に溶血が強く、10日後弁置換となっている。経過観察は2年から10年で中央値は、7年である。すべての症例がNYHA1である。僧帽弁閉鎖不全の程度は、grade2が1例で、他の症例はgrade1であった。(結語)成人の弁形成のテクニックを用いた小児の僧帽弁形成は、おおむね良好な結果が得られた。今後は、長期的な経過観察が必要であると思われる。