The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

一般心臓病学

Poster (II-P18)

Sat. Jul 8, 2017 6:15 PM - 7:15 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Sachiko Inukai(Japanese Red Cross Nagoya Daini Hospital, Department of Pediatrics)

6:15 PM - 7:15 PM

[II-P18-02] 大動脈弁上狭窄症の手術適応を再考する~突然死回避のための適応拡大~

山本 英範1, 大橋 直樹1, 西川 浩1, 吉田 修一朗1, 鈴木 一孝1, 大森 大輔1, 佐藤 純1, 武田 紹1, 櫻井 一2, 野中 利通2, 櫻井 寛久2 (1.中京病院 中京こどもハートセンター 小児循環器科, 2.中京病院 中京こどもハートセンター 心臓血管外科)

Keywords:大動脈弁上狭窄症, 冠動脈狭窄, 手術適応

【背景】成書では大動脈弁上狭窄症の手術適応は、他の左室流出路狭窄疾患と同様に「圧較差(PG)50mmHg以上」とのみ記されている。また「経時的に病状が進行しうる点」、「冠動脈(CA)入口部狭窄を合併しうる点」が本疾患の特徴でもある。
【当院の治療方針】心臓超音波検査で大動脈弁上に3.5m/s以上の加速を認める症例に対して心臓カテーテル検査(心カテ)を施行し、PG50mmHg未満の症例においても上行大動脈造影にてCA入口部閉塞・狭窄がある、あるいは懸念される症例を積極的に手術適応としている。
【目的・対象・方法】2014年~2016年に心カテを施行した症例を診療録から後方視的に検討し、文献的知見を加えて上記適応拡大の是非について考察した。
【結果】対象は11例で、そのうちWilliams症候群(WS)は3例。7例を手術適応ありと判断した。手術適応例の年齢は中央値9歳(0~18)、PGは中央値45mmHg(25~65)。手術適応理由(重複あり)はPG50mmHg以上が3例(WS1例)、CA入口部閉塞が2例、CA入口部狭窄が4例(WS2例)であった。狭窄と判断した全例において、術中所見で「CA内膜肥厚による入口部狭窄」や「STjの肥厚内膜によるCA入口部直上の庇形成」を認めた。術後経過は全例良好で、術後心カテでPG中央値5mmHg(0~15)、CA入口部も全例で充分な拡大を確認できた。
【考察】文献的には突然死の因子はPGよりむしろCA狭窄である。手術成績は緊急手術例を除けば良好であり、また遠隔期再手術を要する因子は乳児期手術・大動脈二尖弁・上行大動脈低形成型であると報告されている。従って、再手術の因子がない症例ではCA狭窄が懸念されればPG値にかかわらず積極的に手術を考慮するべきである。今後の課題として、心カテよりも低侵襲な検査による冠動脈評価方法の検討が求められる。
【結語】予後からはCA入口部評価は重要視すべき項目である。突然死の回避を強く意識した手術適応の拡大が求められる。