The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

胎児心臓病学

Poster (II-P20)

Sat. Jul 8, 2017 6:15 PM - 7:15 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Tetsuko Ishii(Tokyo Women's Medical University Department of pediatric cardiology )

6:15 PM - 7:15 PM

[II-P20-08] 大分県における小児循環器疾患の周産期管理の現状

原 卓也, 大野 拓郎 (大分県立病院 小児科)

Keywords:地域医療, 生前診断, 緊急搬送

【背景】大分県では小児心臓手術が可能な施設がないため、他県に外科的治療を依存せざるを得ず、転院搬送を必要とする症例が少なからず存在し、特に重症例においては、それまでのbridgingをいかに行うかが重要となる。今回、当院で周産期に小児循環器疾患の診断を受けた患児の出産前後の現状を把握するために検討を行った。【対象と方法】2010年1月~2016年12月において、出生前から新生児期に当院で診断・加療を行った症例を対象とし、診療録より後方視的に検討した。【結果】症例は196例。診断内訳はVSD 82例、ASD 7例、PDA 15例、PS 2例、AVSD 10例、TOF 18例、COA 13例、TGA 5例、DORV 10例, TAPVC 4例、PV atresia 1例、AS 3例、PA-IVS/Critical PS 7例、TA 2例、Ebstein 2例、SV 2例、Heterotaxy 4例、その他11例であった。初診状況は、当院NICU入院169例、外来受診18例、胎児診断後母体搬送 9例であった。胎児エコ―で心形態異常を指摘された症例は44例 (22%)で、疾患群毎にみると複雑心奇形群は32/84症例 (38%)で、流出路異常、大動脈弓の異常、肺静脈の異常は7/30症例(23%)と出生後診断が大勢を占めた。胎児期未診断で、一般産科からの緊急搬送になった症例は76例 (38%)であった。早急な治療を要した例は23例で、うち15例がPDA依存性、2例がobligatory shunt未確立であり、PDA依存性のうち1例はductal shockで発症していた。手術のため搬送となった症例は76例 (38%)で、当日、または翌日の緊急搬送はそのうち8例であった。TGA. Restrictive FOの1例では、進行性チアノーゼに対して当院でBASを施行し、安定化を得て搬送することが可能であった。【結語】最終的な治療が提供できない大分県での生前診断の重要度は極めて高い。しかし、未だ十分な状況にあるとは言えず、不測に発生する重症例における予後の地域格差を解消するためにも、可能であれば専門治療が行える水準を保持する事が必要であることを痛感した。