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[II-P22-01] CTによる心筋血流予備量比の川崎病冠動脈障害への応用について
Keywords:心筋血流, CT, 川崎病
【背景】機能的心筋虚血の診断に心筋血流予備量比(以下FFR)測定は有用である。冠動脈CT造影による心筋血流予備量比(以下FFRct)は低侵襲性検査として期待されているが、FFRと完全に一致するものではなく、その適応と解釈に注意が必要である。また、石灰化症例で測定限界があるとされており川崎病冠動脈障害(以下KDCAL)に対して適応になるかが課題とされる。【目的】KDCALに対するFFRctの解釈と問題点について検討する。【対象と方法】冠動脈形態評価のために冠動脈CT造影を必要とした重症KDCALの成人2例、冠動脈拡張退縮の小児2例(5歳、7歳)を対象とした。FFRct測定のための追加プロトコールはなく、HeartFlow社に提供したスライスデータからFFRctを測定した。【結果】全例で冠動脈形態評価のための良好な画質が得られた。小児2例で「幼児データのため血管サイズが適していない」と判断されFFRct解析不能であった。成人1例は左右複数の冠動脈瘤と全周性を含む複数箇所の石灰化を認めたが、FFRctは全冠動脈枝で測定可能であった。成人2例目は左前下行枝近位部に閉塞後再疎通を認め、心筋血流イメージングでは冠血流は維持されていたが再疎通部より末梢のFFRctは測定不能であった。【考察】石灰化が強い成人例でもFFRctが測定可能であり、今後KDCAL石灰化症例への適応拡大として期待できる。小児例は各冠動脈枝末梢まで良好に描出されていたが測定不能であった。HeartFlow社は小心筋重量や細い冠動脈径などを測定限界としているが、FFRctの測定で「小児の何が測定限界になるのか」について明確にしていく必要がある。また、成人例においては完全閉塞後再疎通でFFRct測定は不能であり除外例について認識する必要がある。【結語】石灰化を伴うKDCALに対するFFRct利用は期待できるが、小児での測定は現状では限界が大きい。また成人であっても閉塞後再疎通症例への適応には注意を要する。