第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター (II-P22)
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2017年7月8日(土) 18:15 〜 19:15 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:糸井 利幸(京都府立医科大学小児科)

18:15 〜 19:15

[II-P22-04] Norwood術前MDCT検査の有用性と安全性の検討

廣田 篤史1, 黒嵜 健一1, 神崎 歩2, 白石 公1 (1.国立循環器病研究センター 小児循環器科, 2.国立循環器病研究センター 放射線科)

キーワード:MDCT, HLHS, Norwood

【背景】マルチスライスCT(MDCT)の発展により,心大血管構築異常の正確な形態描出が可能となった.当院では左心低形成症候群(HLHS)に対し,積極的にNorwood手術(NW)前MDCTを施行しているが、その有用性は明確でない.【目的】HLHSのNWまたはNW+両方向性グレン手術(NWG)前に施行したMDCTの有用性と安全性について調査すること.【方法】2012年4月から2017年1月に,NWまたはNWG術前にHLHS21例に対して施行した23回のMDCTを対象とし診療録とデータベースより撮像背景と検査合併症について、また小児心臓血管外科医6名に質問紙表を用いて必要性と有用性について調査し検討した.CT装置はフリップス社製SOMATOM Definition flashを使用し、管内電圧は80KVp(一部100KVp)とした.鎮静はトリクロリールシロップに適宜チオペンタールやジアゼパムを追加し造影剤はイオパミドール (370mg/ml)を使用.低体温を来さないよう室温も高めに調節した.【結果】MDCT前に施行した姑息術は両側肺動脈絞扼術(bPAB) 20例,動脈管ステント留置術(DS) 10例.MDCT施行日齢は中央値25 (範囲9-494) 日(以下同様).手術日齢はNW 33.5(15-188),NWG 316(306-607).MDCTから手術までの間隔はNW7.5(1-82)日,NWG 60(25-113)日. MDCT検査目的はNW / NWG術前形態評価21例(全例で3次元構築 ), TAPVC診断1例,CoA診断1例.全例検査を中断することなく画像を得ることができ有害事象はなかった.心臓血管外科医への調査結果は,NW/NWG術前検査として全例施行希望67%,画質は適切83%,適切な撮影時期は術前1ヶ月以内83%.NW前の3次元構築必要100%, レプリカ希望67%.両側肺動脈形成術に3次元構築必要83%. レプリカ希望17%だった.【考案】NW/NWG術前のMDCTは安全に施行可能で良好な画像を得ることができる.またbPABやDSなど姑息術による血管形態変化がある場合はMDCTから再構築した3次元画像が有用な術前情報となりうる.