6:15 PM - 7:15 PM
[II-P22-06] 上大静脈還流型部分肺静脈還流異常症に対するDouble decker法の遠隔期成績と4D-MRIでの血流解析
Keywords:PAPVR, 心房内rerouting, 遠隔期成績
【目的】上大静脈(SVC)還流型部分肺静脈還流異常症に対する従来の術式は遠隔期SVCおよび肺静脈(PV)狭窄,右房切開に起因する上室性不整脈が問題となる。我々は最小限の右房切開による心房内血流転換とSVCの連続性を確保して可及的自己組織によりSVC・PV還流路を二層に再建するDouble decker法(JJTCVS 2000;48:370-2)を採用している。今回,本術式の遠隔期成績の検討に加え4D-MRIによる血流解析を行った。
【対象と手術】1998年1月~2017年1月に本術式を施行した21例を対象とした。手術時年齢は4.4(0.9~55.9)歳,手術時体重16.5(5.4~62)kg。合併心奇形は心房中隔欠損12例,ファロー四徴症2例,心室中隔欠損2例,三心房心1例,両大血管右室起始1例,大動脈弁疾患2例。うち胸骨正中切開19例,右後側方開胸2例。本術式ではSVC近位側を新PV還流路に,右心耳flapをSVC上外壁に吻合し新SVC還流路とし,両還流路が連続性を保ちつつ二階建て(double decker)となる。分界稜,洞結節,洞結節動脈は全て温存。超音波検査などにより遠隔期の両還流路狭窄および不整脈合併の有無の検討を行った。また4D-MRIを用いて血流解析を行い,両還流路の血流を可視化することにより評価した。
【結果】術後観察期間は10.9(0.1~18.3)年。術死,遠隔死亡,再手術なし。上室性不整脈なし。遠隔期のSVC, PVの血流は層流で平均流速はPV 0.41m/s, SVC 0.47m/sと加速なく形態的狭窄も認めず。4D-MRI血流解析では両還流路ともに加速なく直線的な血流でwall share stress極めて低値であった。
【考案】本術式の遠隔成績は良好であった。最小限の心房切開による遠隔期上室性不整脈の回避,SVCの連続性保持による遠隔期狭窄の回避,広いPV還流路による狭窄回避,可及的自己組織による再建による成長の可能性などの利点を持ち,右側方切開アプローチでも可能である。4D-MRI血流解析により本術式は流体力学的にも有利で遠隔期狭窄の懸念が少ない事が証明された。
【対象と手術】1998年1月~2017年1月に本術式を施行した21例を対象とした。手術時年齢は4.4(0.9~55.9)歳,手術時体重16.5(5.4~62)kg。合併心奇形は心房中隔欠損12例,ファロー四徴症2例,心室中隔欠損2例,三心房心1例,両大血管右室起始1例,大動脈弁疾患2例。うち胸骨正中切開19例,右後側方開胸2例。本術式ではSVC近位側を新PV還流路に,右心耳flapをSVC上外壁に吻合し新SVC還流路とし,両還流路が連続性を保ちつつ二階建て(double decker)となる。分界稜,洞結節,洞結節動脈は全て温存。超音波検査などにより遠隔期の両還流路狭窄および不整脈合併の有無の検討を行った。また4D-MRIを用いて血流解析を行い,両還流路の血流を可視化することにより評価した。
【結果】術後観察期間は10.9(0.1~18.3)年。術死,遠隔死亡,再手術なし。上室性不整脈なし。遠隔期のSVC, PVの血流は層流で平均流速はPV 0.41m/s, SVC 0.47m/sと加速なく形態的狭窄も認めず。4D-MRI血流解析では両還流路ともに加速なく直線的な血流でwall share stress極めて低値であった。
【考案】本術式の遠隔成績は良好であった。最小限の心房切開による遠隔期上室性不整脈の回避,SVCの連続性保持による遠隔期狭窄の回避,広いPV還流路による狭窄回避,可及的自己組織による再建による成長の可能性などの利点を持ち,右側方切開アプローチでも可能である。4D-MRI血流解析により本術式は流体力学的にも有利で遠隔期狭窄の懸念が少ない事が証明された。