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[II-P24-08] 新生児先天性完全房室ブロックに対する一時ペーシング法の工夫:経臍静脈アプローチ
キーワード:先天性完全房室ブロック, 臍静脈アプローチ, 一時ペーシング
【背景】先天性完全房室ブロック(CAVB)に対しペースメーカー植込み(PMI)が考慮されるが,重症心不全症例では出生直後からのペーシングが必要となる.緊急的に経臍静脈アプローチに一時ペーシングを行い,状態安定後待機的にPMIとした症例を経験した.新生児用の一時ペーシングカテーテルは存在しないため,当院での工夫を報告する.【症例】在胎28週でCAVBと診断.在胎36週0日,胎児水腫徴候出現のため緊急帝王切開で出生.体重2634g,心拍42bpm.イソプロテレノール投与を行うも心拍50bpmのため経臍静脈アプローチにて心室内ペーシングを選択した.手順は以下の通りである.1.臍静脈より5Fr.シングルルーメン臍カテーテルを挿入し,先端をIVCに留置.2.左記カテーテルより2Fr. EPstar電極カテーテル(日本ライフライン)をエコーガイド下に右室へ挿入し,ペーシングが可能なことを確認.3.臍カテーテルはハンドル部へ抜去し,電極カテーテルを臍部で縫合.4.周囲をガーゼとテープにて俵状に固定.留置による感染予防のためセファゾリンを投与.VVIにて安定した循環動態が得られ,日齢4にPMI.体動などによるペーシング不全は認めず,血栓形成もなかった.【考察】CAVBに対する一時的ペーシング法としての経臍静脈アプローチの利点は,臍静脈カテーテルの挿入は比較的簡便であること,心内ペーシングによる安定的ペーシングが可能なことにある.一方,この方法では組織が脆弱な静脈管を経るため,穿孔には注意が必要であり,固定法にも工夫が必要である.また,経路の解剖も理解が必要である.透視下カテーテルは確実であるが,新生児の移動や体温管理等を考慮し,エコーガイド下にて施行した. 【結語】緊急的一時ペーシングが必要な新生児において,エコーガイド下の経臍静脈アプローチでの一時ペーシングは有効であり,選択肢として提案する.