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[II-P25-01] 拡張型心筋症を合併した完全房室ブロックに対し,心臓再同期療法が有効であった幼児症例
キーワード:拡張型心筋症, 完全房室ブロック, 心臓再同期療法
【緒言】拡張型心筋症(DCM)を合併した先天性完全房室ブロック(CAVB)の幼児に対し,心臓再同期療法(CRT)が有効であった症例を経験したので報告する.【症例】胎児期よりCAVBと診断し,胎児水腫徴候を認めたため在胎36週0日,緊急帝王切開で出生.心拍数40bpm,心収縮悪く,生直後より経静脈的temporary pacing,日齢4に開胸下に永久pacemaker植込み術を施行(VVI,leadは右室流出路).その後順調に経過していたが,BNP上昇,摂食不良,心機能低下があり,1歳3か月時,右房lead追加,右室leadの左室心尖部への変更によりDDDへ変更した.DDD upgrade後も心機能は進行性に悪化し,胸部X線で心胸郭比69%,心エコーでは左室拡張末期径53 mm,LVEF(4C) 4.3%,心筋菲薄化を認め,BNP 2511 pg/mlであり,DCMと判断した.心電図はpacing率100%, 心拍数120/分, QRS時間140 msであった.このため1歳8か月時,CRT-Pへupgradeの方針とした.lead位置の決定は,事前にカテーテルによるCRT simulationを施行し,術中心外膜エコーにてdyssynchronyのない位置を検討し,左室傍心尖部後側壁,右室前璧,右房へそれぞれleadを装着した.CRT術後10か月現在,心不全症状は軽快し,BNP 94 pg/ml,LVEF(4C)43%へ改善を認めるている.【考察】乳児のDCM,CAVBの右室pacing後の重症心不全に対するCRTは有効であり,今回症例では心移植を回避した.心移植術を見据えた症例に対するbridging therapyにもなり得ると考えられた.また,CRTの両室lead装着位置決定には,術中心エコーによりdyssynchronyの改善を確認しながら決定したことが有効であったと考えられた.