The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

心不全・心移植

Poster (II-P25)

Sat. Jul 8, 2017 6:15 PM - 7:15 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Kiyoshi Ogawa(Saitama Children's Medical Center)

6:15 PM - 7:15 PM

[II-P25-02] ベータ遮断薬は左室性単心室の抗心不全治療として本当に有効か? ベータ遮断薬中止後に心不全が改善した三尖弁閉鎖症の1例

東 浩二, 村上 智明, 榊 真一郎, 長岡 孝太, 白石 真大, 伊東 幸恵, 真船 亮, 名和 智裕, 福岡 将治, 中島 弘道, 青墳 裕之 (千葉県こども病院 循環器内科)

Keywords:betablocker, CHF, TA

【背景】成人での慢性心不全患者に対するベータ遮断薬の有用性は確立している。小児においても“左室を主心室にする症例”に対してはベータ遮断薬が有効であるとの報告が散見され、成人に準じて抗心不全治療にしばしば用いられている。今回我々は、抗心不全治療としてベータ遮断薬を長期投与中に有害事象が出現し、中止後に心不全が徐々に改善した三尖弁閉鎖症(TA)の1症例を経験したので報告する。【症例】7歳男児、診断はTA(IIc)、大動脈弁下狭窄、大動脈低形成、大動脈縮窄。日齢8にノーウッド手術 (右室-肺動脈導管)+心室中隔欠損拡大術、3か月時に導管交換術+心室中隔欠損再拡大術、術後完全房室ブロックとなり4か月時にペースメーカー植え込み術、1歳3か月時に両方向性グレン手術を施行。術後より左室の拡大と心収縮の低下を認め1歳9か月時よりカルベジロールとエナラプリルを導入。1歳11か月時に心外導管型フォンタン手術+心臓再同期療法を施行。しかし術後も心機能低下が持続した為にカルベジロール0.8mg/kg/day、エナラプリル0.4mg/kg/dayまで増量したものの心機能の改善は見られず。4歳1か月時に胃腸炎を契機に低血糖による意識障害ならびに全身性けいれんを認め緊急入院、カルベジロールの副作用と判断し投与中止とした。カルベジロール中止半年後より左室駆出率やBNP値が徐々に改善。また中止1年半後には完全房室ブロックが改善し、ほぼ100%だった心室ペーシング率が20%程度となり心機能が更に改善した。【考察】ベータ遮断薬は心保護薬として位置付けられているものの、心機能を低下させ低血糖や伝導障害を惹起しうる薬剤である。導入前だけでなく導入後も同剤の適応について注意深く検討を続ける必要がある。