Poster (II-P25)

[II-P25-04] 先天性心疾患の心不全に対するTolvaptanの有効性と安全性の検討

^○前澤 身江子^1,2, 瀧聞 浄宏², 百木 恒太^1,2, 田澤 星一², 武井 黄太², 安河内 聰², 上松 耕太³, 岡村 達³ (1.長野県立こども病院小児集中治療科, 2.長野県立こども病院循環器小児科, 3.長野県立こども病心臓血管外科)

Keywords:心不全, Tolvaptan, 尿浸透圧

【背景】Tolvaptanは強力な水利尿作用を持つバソプレシンV2レセプター受容体拮抗薬で、近年小児循環器領域での使用経験が増加している。【目的】先天性心疾患の心不全に対するTolvaptanの有効性と効果の予測、安全性について検討した。【方法】2013年10月ー2016年12月に入院中にTolvaptanを開始した35例（うち術後使用例13例）、年齢（1ヶ月ー14歳、中央値9ヶ月、男:18）を対象に、診療録を用いて後方視的にTolvaptan投与前後での尿量、血清Na、K、Cre、尿浸透圧の変化を調べ、尿量増加の程度と投与前データと相関の有無を検討した。また、投与前後で尿量が20%増加した有効群と増加しなかった無効群で分けてのデータ比較も行った。【結果】Tolvaptanの初期投与量は中央値0.1mg/kg（0.05-0.18mg/kg）、投与前後3日間の尿量を平均して比較すると尿量は有意に増加した（70.14VS80.06ml/kg/day,p=0.0022）。尿量の増加の程度（前後3日間の尿量比）とTolvaptann投与前の尿浸透圧、血清Naに相関は認めなかった。有効群、無効群で分けてもTolvaptan投与前の尿浸透圧、血清Naに差はなかった。投与前後で血清Naは有意に上昇し（133.8 VS 136.6,p=0.007161945）、特に無効群で有意に上昇していた。高Na血症による投与中止例は1例であった。投与前後での血清K、Creの有意な変化はなかった。【結語】Tolvaptanの投与は先天性心疾患の尿量増加に有効で、利尿効果は投与前の尿浸透圧に左右されなかった。Tolvaptanはどのような先天性心疾患の心不全例でも有用な可能性がある。