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[II-P25-05] 心臓再同期療法(CRT)により体心室機能が改善した修正大血管転位(ccTGA)の1例
Keywords:CRT, 修正大血管転位, 心不全
【はじめに】小児の重症心不全に対する心臓再同期療法(CRT)の有効性が確立してきているが、体心室が右室の修正大血管転位(ccTGA)患者の同期不全(dyssynchrony)においてもCRTの有効性が報告されてきている。今回我々は、dyssynchronyを伴う右室機能不全を呈したccTGA患児に対しCRTを行い、良好な結果が得られたので報告する。【症例】14歳 女児。生後4ヶ月時、前医でccTGA、中等度三尖弁閉鎖不全(TR)と診断され内服治療。7歳時、TRと心不全増悪し、手術目的で当院受診。手術待機中に心原性ショックとなり緊急三尖弁置換術(生体弁)施行。術後経過は順調でNYHA4→2と改善したが、dyssynchronyを伴う右室機能不全遺残しACE-I、βブロッカー等抗心不全治療を継続。14歳時、TR増悪したため再三尖弁置換(機械弁)と同時にCRTを計画し施行。術中房室ブロックとなったが当初の予定通りCRTリード留置を行った。閾値最適部位とdyssynchrony の改善が見られた箇所を探索し、最終的に右室中隔直上の基部寄りと右室後面にリードを留置した。speckle tracking解析で至適VV delayを調節。同時ペーシングで位相差が最小かつVTIの最大値が見られたため同設定とした。QRS幅136→97ms、RVDd63.3→59.4mm、RVEF39.9→41.8%、BNP186.2→24.3pg/mlと改善、NYHAは2→2と不変だった。その後も心機能悪化無く経過良好である。【考察・まとめ】右室を体心室とするccTGA患者では、遠隔期に房室ブロックやTR悪化に伴う心機能不全を呈することがある。本症例は再弁置換とCRTにより、RVDd、RVEF、BNPの改善が得られた。CRTによってdyssynchronyが解消されたことにより、今後の心機能再増悪の予防と、心筋リモデリングの進行を防ぎリバースリモデリングの促進に寄与することが期待される。また、右室の解剖学的特徴から、右室の前後から挟み込むようなペーシングリード留置がdyssynchrony改善のため至適と考えられた。