Poster (II-P25)

[II-P25-08] 未修復の左右短絡疾患における、新規心不全マーカーGrowth Differentiation Factor -15の有用性

^○鍵山 慶之¹, 籠手田 雄介¹, 桑原 浩徳¹, 前田 靖人¹, 吉本 裕良², 寺町 陽三¹, 岸本 慎太郎¹, 工藤 嘉公¹, 家村 素史², 須田 憲治¹ (1.久留米大学 医学部 小児科学教室, 2.聖マリア病院 小児循環器科)

Keywords:GDF-15, 左右短絡心不全, 新規マーカー

【背景】Growth Differentiation Factor-15（GDF-15）はTransforming Growth Factor βファミリーの一員で、虚血などの侵襲によって心筋細胞や血管平滑筋細胞を含む全身から分泌され、その上昇は急性冠症候群や心不全の死亡の危険因子とされる。先天性心疾患（CHD）ではFontan型手術や心内修復術の術後遠隔期心不全の早期マーカーとされるが、未修復CHDでの検討はない。【目的】左右短絡疾患におけるGDF-15の臨床的意義を検討する。【方法】対象は2016年3月から12月に当科で心臓カテーテル検査を施行した左右短絡疾患患者45名、男女比19：26、年齢中央値6歳（0-71歳）。疾患はASD28人、VSD4人、PDA11人、DORV1名、CAF1人。診療録から患者属性、Ross分類（小児）、NYHA分類（18歳以上）、カテーテルでの血行動態指標、NT-proBNPを調査しGDF-15との相関を調べた。【結果】Ross/NYHA分類は40名が1度、2名が2度、3名が3度、4度は0名。検査値の中央値、平均値はGDF-15：260pg/mL（11-1024）、NT-proBNP：127pg/mL（10-7922）、SvO₂：69.0%（±5.8）、Cardiac Index：3.0L/min/m²（±1.1）、Oxygen Extraction Ratio OER：28%（±5.6）、肺体血流比 Qp/Qs：2.1（1.1-5.8）。NT-proBNPは対数変換し検討した。GDF-15は、Ross/NYHA分類（r=0.54, p＜0.0001）、Log NT-proBNP（r=0.68, p＜0.0001）、OER（r=0.48, p=0.0008）と正の相関を認め、SvO₂（r=-0.58, p＜0.0001）と負の相関を認めた。GDF-15と年齢、体表面積、Qp/Qs、mPAP、PVRI、CIなどは相関しなかった。【結語】GDF-15は左右短絡疾患における心不全の鋭敏なマーカーとなり得る。