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[II-P26-01] Fontan術後肝硬変に急性E型肝炎を合併した無脾症の18歳女児の一例~Fontan術後肝合併症(FALD)の機序解明につながるか~
Keywords:Fontan遠隔期合併症, FALD, 急性肝炎
【症例】18歳女児。【既往歴】無脾症候群、単心室、肺動脈狭窄。4か月時ltBTS、2歳2か月時TAPVC repair, BDG、2歳10か月時TCPC、房室弁輪縫縮術施行。14歳1か月時吐下血あり肝硬変、食道静脈瘤と診断。1か月後のカテで重度の房室弁逆流によるCVP高値(19-20mmHg)を認め14歳8か月時房室弁形成術施行。半年後のカテではCVP-15-17mmHgと低下し房室弁逆流は1-2度。線維化マーカーはP-3-P=0.79-1.1U/ml、ヒアルロン酸=64-224ng/ml、4型コラーゲン・7S=7.3-7.9ng/mlで推移。【現病歴】10日続く発熱、腹痛、下痢にて当科受診。CRP=25.39mg/dl、T.Bil=5.2mg/dl (D.Bil=3.7g/mdl)と炎症高値及び黄疸認め入院。腹部造影CTにて胆嚢・総胆管拡張は認めず細胆管での閉塞が疑われた。【入院後経過】入院時IgA-HEV抗体陽性と判明しE型肝炎による急性増悪と診断。Alb、PT活性の著しい低下を認め、抗DIC治療およびAlb,FFP補充など対症療法を行いCRPは入院後漸減、入院13日目より解熱。T.Bilは入院後も上昇し入院9日目に15.6(D.Bil=12.3)まで上昇し、その後漸減。だがAST/ALTは外来経過および今回入院経過中も全く上昇しなかった。入院29日目に軽快退院。【考察】FALDは中心静脈圧上昇に基づく肝類洞周囲浮腫や虚血により類洞の線維化が起こり、門脈域に進展し、炎症を伴わないため一般的な肝機能検査は異常が見られない。今回E型肝炎を発症したがAST/ALTが上昇しなかった背景に類洞の線維化が進んでおり肝細胞の容積が少ない可能性がある。また瘢痕化の周囲に反応性に細胆管の増生がみられるという報告もあり、FALDでは小葉間胆管が強く障害される可能性が示唆された。