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[II-P26-07] フォンタン術後疾患群別肝線維化マーカーと腹部エコー所見に関する検討
Keywords:liver fibrosis marker, abdominal Ultrasonography, long term outcome
【背景・目的】機能的単心室症例の治療戦略が安定し、フォンタン(F)術施行症例及び術後成人領域への移行症例が年々増加しているが、F術後は中心静脈圧が高く肝うっ血の原因となり、長期的に肝線維化、肝硬変さらに肝癌の合併が危惧され、これまでに文献的にもいくつかの報告がなされている。そこで今回、昨年12月末時で中学生以上に達した症例で実施した肝線維化マーカー(marker)と腹部エコー(US)所見に関して疾患群別と時系列に着目し検討したので報告する。【対象・方法】対象はF術後の156例。内訳はperfect F;82例、heterotaxy;52例及びHLHS;22例。方法はmarker (4型collagen;4-coll、P-3-P;P3P)を疾患群別と時系列で調べた。また、USでは、後述の異常所見をscore化(肝辺縁鈍化あり、肝表面の凹凸あり、肝内エコーで高エコー結節(領域)あり;各々1点ずつ。正常0点、最高3点)し、疾患群別で検討した。【結果】値は平均値でperfectF:heterotaxy:HLHSの順で示す。4-oollは 199:206:269 ng/mL(p<0.001)、P3Pは1.16:0.97:1.50U/mL (p<0.001)。US scoreは0.8:1.1:1.3点であった(P=0.09)。次に、平均5年の時間経過でmarkerの変化を調べたが、今回の経過時間では有意な上昇は認めなかった(4-collは前:後=218:194 ng/mL、P3Pは前:後=1.15:1.05 U/mL、いずれもN.S)。【総括】疾患群別markerは4-coll、P3PともにHLHS群が有意に高値であった。また、US scoreでもHLHS群が高い傾向を示した(P=0.09)。F術後はperfect Fにおいてさえ、markerは高く、さらにHLHS群では、有意に高い。HLHS群はPLE発症に関しても危険因子であるが(52回当学会で報告)、成人への移行後は肝障害出現及びPLE発症に注意した管理がより厳格に求められ、定期的なうっ血性肝障害の程度をスクリーニングし、異常所見を早期に発見するよう心がける必要があると思われた。