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[II-P27-01] Valsalva洞動脈瘤破裂の3例
Keywords:Valsalva洞動脈瘤, 心室中隔欠損症, 心不全
Valsalva洞動脈瘤は、大動脈弁輪とST接合部の間にある冠動脈洞の一部が瘤状に拡張したものである。Valsalva洞動脈瘤に合併する心大血管構築異常としては、心室中隔欠損症(VSD)、大動脈2尖弁、大動脈閉鎖不全等が知られ、本邦からの報告ではVSDを伴うものが50%以上を占める。動脈瘤が未破裂の場合、その正確な自然予後は不明であるが、破裂後の自然予後は平均1年以内ともいわれる。今回、心不全症状を契機にValsalva洞動脈瘤破裂と診断され、外科治療により良好な経過を辿った3例の成人症例を経験したので報告する。Case1) 37歳女性、26歳時に膜様部VSDを指摘され以後不定期に外来受診。倦怠感や息苦しさを認めるようになったため、当院受診し、Valsalva洞動脈瘤破裂の診断。右冠動脈洞より右室への穿破を認め、破裂孔の直接閉鎖を施行。VSDのdefectは認めず、破裂孔から周囲心内膜にかけて線維化組織の周堤を認めVSDの瘢痕と考えられた。Case2) 30歳女性、25歳時の就職前検診にて心雑音を契機に膜様部small VSD と診断され、近医にて定期フォローされていた。30歳頃より労作時の息切れを認めるようになり、当院にてValsalva洞動脈瘤破裂の診断。右冠動脈洞より右室への穿破を認め、破裂部のパッチ閉鎖を施行。Case1同様VSDは確認できなかった。Case3) 26歳男性、これまで感染、外傷等の特記既往症なし。24歳頃より全身倦怠感を認めるようになり近医にてValsalva洞動脈瘤破裂と診断され、当院紹介。右冠動脈洞より右房への穿破を認め、破裂部を直接縫合閉鎖し、自己心膜パッチ補強、VSDの存在は確認できなかった。2例でVSDの関与が推察され、1例は病因が不明であり発症予測は困難と考えられた。膜様部VSDは両大血管下漏斗部欠損や流出路筋性部欠損に比較し大動脈弁疾患を合併する頻度は少ないが、注意して経過観察すべきである。