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[II-P27-07] 心房中隔欠損症に対する小開胸、完全内視鏡下閉鎖術の妥当性の検討と心室中隔欠損症に対して完全内視鏡下閉鎖術を用いた4例
Keywords:ASD, VSD, MICS
【目的】心房中隔欠損(ASD)閉鎖の外的治療では正中切開(MS)が主流だが、閉鎖栓と比して美容面で大きな差異がある。そのため完全内視鏡下低侵襲心臓手術(MICS)をASD閉鎖術に用い、正中切開と比較し妥当性を検討した。また心室中隔欠損(VSD)閉鎖術にもMICSを用いた4例を報告する。【方法】2000年2月から2016年に行った134例のASD手術を対象とした。33例がMICSで101例が正中切開だった。MICSでは身長140cm以上を適応とした。Propensity matchingにより60例を抽出、その早期成績を比較した。手術法;左半側臥位で、第4肋間乳腺外側縁に3cmの主創、第5肋間に5mm内視鏡ポート、第3肋間中腋窩線に操作用5mmポートを用いた。右大腿動静脈から体外循環を確立し、主創から脱血管を追加。VSDに関しても同様に右房から三尖弁中隔尖を切開して視野を得た。【結果】合併手術はMICS11例(36%)、正中切開8例(26%)で行われた(P=0.41)。合併症はMICS0例、正中切開4例(13%)であった(P=0.06)。またMICSでは遮断時間(MICSvsMS、76±12 vs 33±24 分, p<0.01)、体外循環時間(MICSvsMS128.0±26vs70.6±37 分, p<0.01)が延長したが、術時間に有意差を認めなかった(195.8±40 vs 202±49 min, p=0.56)。またMICSでは術後有意な在院日数の短縮を認めた。(MICSvsMS、7.0 vs17 日, p<0.01)。またVSDを施行した4例は平均術時間249.5分、体外循環時間178.3分、心停止時間129.0分であった。術式に起因した合併症は1例のみ(胸壁出血)だった。【結論】MICSASDパッチ閉鎖は体外循環時間と遮断時間が延長したが、合併症がより少ない傾向にあり、術後在院日数の有意な短縮を認めた。正中切開と比して美容的利点があり、閉鎖栓に対してはいかなる型のASDも治療可能で、不整脈や弁膜症治療も同時施行可能であった。完全鏡視下ASD閉鎖術は今後第一選択として良いと思われた。また少ない症例数であるがVSDに関しても技術的にMICS鏡視下閉鎖可能であった。