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[II-P28-05] ニコチン負荷がマウス胎仔の心血行動態ならびに出生後の成長発達に及ぼす影響についての検討-胎児プログラミングの実証的研究
キーワード:胎児プログラミング, ニコチン, 血流再分配
【背景】妊娠初期に低栄養や薬物負荷などのストレスを受けた場合、出生後に児の肥満や高血圧、高脂血症等の生活習慣病のリスクが高まるという胎児プログラミング説が注目されている。【目的】妊娠初期のマウスにニコチンを負荷し、母体および胎仔のエコー検査を施行することにより母胎内で実際に起きている胎仔の心血行動態の変化を観察し、胎児プログラミングにつながる血流調節(血流再分配)を明らかにし、さらに実際に出生したマウスの発育と心機能を追跡することにより胎児プログラミングを検証することを目的とした。【方法】CD-1妊娠マウスを用いて、心臓形成が始まる妊娠日齢(ED)9.5と、心臓形態がほぼ完成するED13.5、その中間にあたるED11.5にエコー検査を施行した。まず妊娠マウスにニコチン0.2mg/kgを皮下注射し、注射15分後にエコー検査を施行して生理食塩水を静注した対照群と比較した。次に0.01%ニコチン水のみを自由摂取させた群を、普通水を摂取させた対照群と比較した。さらに両群から出生したマウスの発育、血圧、心機能等を追跡調査した。【結果】妊娠マウスにニコチンを皮下注射した場合、母体の心機能には差を認めなかったが、胎仔においては背側大動脈、総頸動脈および臍帯動脈の血流がそれぞれ減少する傾向があり、特にED11.5において有意に各血流が減少した。ニコチン水を経口投与した場合にも母体の心機能には差を認めなかったが、胎仔の臓器血流においては各血流が減少する傾向があり、特にED13.5において有意な血流減少を認めた。出生後はニコチン水摂取群からの出生仔は有意に低体重であり、心肥大と駆出率の上昇を認めた。【結論】妊娠マウスへのニコチン負荷により、胎仔の各臓器血流は減少した。ニコチンの血管収縮作用により胎盤血流が減少し、胎仔の臓器血流の減少による胎仔組織の低酸素状態が子宮内発育遅延や出生後の仔の健康状態に影響する可能性が示唆された。