第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

川崎病・冠動脈・血管

ポスター (II-P29)
川崎病・冠動脈・血管 3

2017年7月8日(土) 18:15 〜 19:15 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:津田 悦子(国立循環器病研究センター)

18:15 〜 19:15

[II-P29-04] 高岡市民病院における川崎病10年間の転帰

辻 春江, 辻 隆男 (高岡市民病院)

キーワード:川崎病急性期治療, IVIG不応例, 不応例予測スコア

【背景】2003年に「急性期川崎病(KD)の治療ガイドライン」が提唱され2012年に「川崎病急性期治療のガイドライン(平成24年改訂版)」には新しい薬物療法も追加された。【目的】川崎病ガイドラインに従った治療がなされその有効性はどのくらいかを調査することによって当院での今後の川崎病治療に寄与することが目的である。【方法】2007年1月1日から2016年12月31日までの10年間に当院に入院ないし通院した川崎病急性期の患者を対象とした。1)患者情報 性別、年齢、住所、発症日、治療開始病日 2)血液検査 白血球数、好中球%、ヘマトクリット、血小板数、AST、ALT、CRP、総ビリルビン、ナトリウム、アルブミン、フェリチン 3)心臓超音波検査 冠動脈径、弁膜症や心嚢液貯留の有無 4)治療内容 アスピリンのみ、免疫グロブリン大量療法、それ以上の治療 1)から4)を調査し検討した。【結果】10年間112例(再発例含む)の川崎病患者のうち、冠動脈瘤の残存を1例(0.8%)に認めた。死亡例はなかった。アスピリン単独での治療11例、免疫グロブリン大量療法を併用した101例中19例(18.8%)にて免疫グロブリン不応例と判定した。2015年からの2年間の川崎病患者は32例、アスピリン単独治療4例、免疫グロブリン大量療法を併用した28例中11例(39.3%)において免疫グロブリン不応例と判定し追加投与、さらにこのうち6例に3rd lineの治療を要した。小林スコア4点以下の例においても不応例が認められた。【考察】10年間の川崎病患者の治療を顧みるとおおむね川崎病全国調査でのデータと同様の結果であった。ただし最近の2年間に限っては免疫グロブリン不応例予測スコアを裏切っての不応例が多く、特定の地域の川崎病患者の治療反応性が悪かった。川崎病疫学調査の結果から言われているように川崎病の原因として何らかの感染症の関与が示唆され、その病原体の性質によって免疫グロブリンに対する治療反応性が異なることが考えられた。