6:15 PM - 7:15 PM
[II-P29-07] 大量ガンマグロブリン投与を行わず解熱したが、後に冠動脈拡張を来した不全型川崎病の4ヶ月女児
Keywords:川崎病, 冠動脈拡張, 解熱後
【背景】
大量ガンマグロブリン療法(IVIG)を行わずに解熱し、その後冠動脈拡張を認める川崎病症例が存在することが報告されている。
【症例】
症例は4ヶ月女児。37度後半の微熱と全身の皮疹で発熱2日目に紹介となった。WBC 16,300/μL、CRP 1.39mg/dLと炎症反応の上昇は軽度であった。第4病日、37度台の微熱が継続し、軽度ではあったが口唇紅潮、結膜充血、四肢浮腫を認め入院とした。冠動脈エコーでは冠動脈拡張なくCTRXを投与し、第5病日に36度台へ解熱。第6病日には症状は消失。第7病日、WBC 17,400/μL、CRP 0.62mg/dLと炎症反応は低下し、冠動脈エコーでも冠動脈病変なく退院とした。第11病日、38度台の発熱、結膜充血のため外来再診。WBC 21,300/μL、Plt 71万/μl、CRP 1.08mg/dLと炎症反応の軽度上昇、Plt高値を認め、アスピリン内服を開始した。しかし38度半ばをピークとする間欠熱、結膜充血が継続した。第19病日、皮疹と四肢浮腫が再燃し、WBC 16,800/μL、CRP 2.60mg/dLと炎症反応の上昇と冠動脈エコーで冠動脈拡張を認めた(RCA 3.3mm(Z score:7.04), LMT 2.3mm(Z score:2.79), LAD 2.1mm(Z score:3.44), LCX 2.3mm(Z score:4.22))。IVIGおよびアスピリン増量を行い速やかに解熱したが、第21病日に38度台に発熱しウリナスタチン投与を併用開始した。第22病日に36度台へ解熱し、結膜充血、四肢浮腫も消失した。以降、症状再燃はなく第29病日に退院とした。冠動脈最大径は第23病日、RCA 3.7mm(Z score:8.20)。第127病日にはRCA 2.0mm(Z score:2.37), LMT 1.6mm(Z score:0.15), LAD 1.4mm(Z score:0.37), LCX 1.4mm(Z score:0.92)と冠動脈径は正常化傾向であった。
【結語】
IVIGを行わずに解熱し川崎病症状の改善した症例では、症状の再燃、炎症反応の再上昇を認めた場合、積極的に冠動脈エコーを行うべきである。
大量ガンマグロブリン療法(IVIG)を行わずに解熱し、その後冠動脈拡張を認める川崎病症例が存在することが報告されている。
【症例】
症例は4ヶ月女児。37度後半の微熱と全身の皮疹で発熱2日目に紹介となった。WBC 16,300/μL、CRP 1.39mg/dLと炎症反応の上昇は軽度であった。第4病日、37度台の微熱が継続し、軽度ではあったが口唇紅潮、結膜充血、四肢浮腫を認め入院とした。冠動脈エコーでは冠動脈拡張なくCTRXを投与し、第5病日に36度台へ解熱。第6病日には症状は消失。第7病日、WBC 17,400/μL、CRP 0.62mg/dLと炎症反応は低下し、冠動脈エコーでも冠動脈病変なく退院とした。第11病日、38度台の発熱、結膜充血のため外来再診。WBC 21,300/μL、Plt 71万/μl、CRP 1.08mg/dLと炎症反応の軽度上昇、Plt高値を認め、アスピリン内服を開始した。しかし38度半ばをピークとする間欠熱、結膜充血が継続した。第19病日、皮疹と四肢浮腫が再燃し、WBC 16,800/μL、CRP 2.60mg/dLと炎症反応の上昇と冠動脈エコーで冠動脈拡張を認めた(RCA 3.3mm(Z score:7.04), LMT 2.3mm(Z score:2.79), LAD 2.1mm(Z score:3.44), LCX 2.3mm(Z score:4.22))。IVIGおよびアスピリン増量を行い速やかに解熱したが、第21病日に38度台に発熱しウリナスタチン投与を併用開始した。第22病日に36度台へ解熱し、結膜充血、四肢浮腫も消失した。以降、症状再燃はなく第29病日に退院とした。冠動脈最大径は第23病日、RCA 3.7mm(Z score:8.20)。第127病日にはRCA 2.0mm(Z score:2.37), LMT 1.6mm(Z score:0.15), LAD 1.4mm(Z score:0.37), LCX 1.4mm(Z score:0.92)と冠動脈径は正常化傾向であった。
【結語】
IVIGを行わずに解熱し川崎病症状の改善した症例では、症状の再燃、炎症反応の再上昇を認めた場合、積極的に冠動脈エコーを行うべきである。