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[II-P29-09] 初回免疫グロブリン療法後の川崎病重症度評価における好中球/リンパ球比の有用性
Keywords:Kawasaki disease, neutrophil to lymphocyte ratio, intravenous immunoglobulin therapy
【背景】初回免疫グロブリン療法(IVIG)終了後の川崎病重症度評価法は確立されていない。最近、好中球/リンパ球比(NLR)が川崎病重症度評価に有用であることが報告されてきた。【目的】初回IVIG不応に対する追加治療の適応診断指標として、NLRの有用性を明らかにすること。【方法】2004~2016年に川崎病に対して2g/kg/dose IVIGが施行された163例を後方視的に検討した。126例の初回IVIG反応例と37例の不応例に分類し、不応例はさらに、不応に対して追加治療を受けた13例(治療群)と受けなかった24例(無治療群)に分類した。【結果】3群すべての初回IVIG施行日の中央値は5病日で、初回IVIG 終了後かつ追加治療前の検査日も中央値8病日であった。IVIG終了後のNLR中央値(最小値-最大値)は、不応例vs反応例で、2.35 (0.33-12.65) vs. 0.74 (0.01-4.42), P < 0.001、治療群vs無治療群で、5.42 (0.52-12.65) vs. 1.645 (0.33-4.08), P = 0.003,であった。治療群vs.無治療群vs.反応例の3群間検定でも、NLR,CRP値,解熱病日、すべてにおいて有意差(P < 0.001)が認められた。163例中30病日以降に冠動脈病変を遺したのは治療群の1例のみであり、この症例のNLR値は全例中最大で、NLR > 12はこの1例のみであった。血漿交換を受けたのはこの症例のみで、冠動脈後遺症は発症から7カ月後の選択的冠動脈造影所見で狭窄性病変なく退縮していた。【考察】冠動脈拡大と瘤形成例の違いは、8病日以降の発熱持続の有無が重要な因子とされており、8病日は冠動脈後遺症リスク評価に重要な時期である可能性がある。中央値8病日におけるNLRはCRP値とともに初回IVIG終了後川崎病重症度評価に有用であり、NLR > 12は冠動脈後遺症リスク因子として、血漿交換適応決定のガイドになる可能性がある。【結論】NLRは、初回IVIG終了後川崎病重症度評価に有用であり、追加治療適応診断のガイドになる可能性が示唆された。