第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション 4 (II-PD4)
無脾症候群(治療困難症例の検討を含めて)

2017年7月8日(土) 08:30 〜 10:00 第1会場 (1F 展示イベントホール Room 1)

座長:先崎 秀明(埼玉医科大学総合医療センター小児循環器)
座長:山岸 正明(京都府立医科大学小児心臓血管外科)

08:30 〜 10:00

[II-PD4-05] Right atrial isomerismに対する外科治療成績

檜山 和弘, 中野 俊秀, 小田 晋一郎, 原田 雄章, 戝満 康之, 坂口 修平, 宮城 ちひろ, 内山 光, 角 秀秋 (福岡市立こども病院 心臓血管外科)

キーワード:Right atrial isomerism, 外科治療, Fontan手術

【目的】Right atrial isomerism (RAI)は予後不良な疾患群である。当院での手術成績に検討を加えたので報告する。【対象と方法】1995年から2015年までに外科治療を行ったRAIを有する機能的単心室の142例を対象とした。房室弁形態は共通房室弁が129例 (91%)であった。心外型総肺静脈還流異常の合併が65例 (46%)、major aortopulmonary collateral artery (MAPCA)の合併が6例であった。初回手術時年齢は中央値1.9か月であり、新生児が31例(22%)であった。初回手術でGlenn手術施行が30例 (21%)あり、総肺静脈還流異常修復が46例(32%)、房室弁手術が20例(14%)であった。全経過での手術総数は358例 (2.5回/症例)で、肺静脈手術(総肺静脈還流異常修復や術後肺静脈狭窄解除)を63症例70回、房室弁手術を55症例で77回、肺動脈形成を49症例で61回施行した。術後観察期間は中央値3.9年(最長19.6年)であった。【結果】Glenn手術前の死亡は29例 (20%)、Glenn手術からFontan手術までの死亡が14例 (10%)であった。102例 (72%)がGlenn手術に到達し、74例 (52%)がFontan手術到達した。Fontan手術後の死亡は4例(3%)であった。死因は心不全が10例、感染が9例、突然死が7例、肺静脈狭窄が6例、肺高血圧発作が3例、不整脈が3例、消化管穿孔が3例、その他6例であった。全体の累積生存率は10年で63.6%であったが、Fontan術後の累積生存率は10年で93.4%であった。死亡に関与する因子の多変量解析では、MAPCAの合併と初回手術時での房室弁手術が危険因子となった。Fontan術後の心臓カテーテル検査では、肺動脈圧が平均11mmHg、心室拡張末期圧が平均5mmHg、動脈酸素飽和度が平均94.2%と良好であった。【結果】Right atrial isomerismに対する外科治療では、合併疾患に対する併用手術が多く、Glenn手術到達前やFontan手術到達前のinter stage deathが多かった。しかしながら、Fontan手術到達例では良好な成績が得られた。