第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション 5 (II-PD5)
診断および治療方針について討論が必要な胎児心臓病をどのように対応するべきか

2017年7月8日(土) 13:50 〜 15:20 第4会場 (1F 展示イベントホール Room 4)

座長:稲村 昇(近畿大学小児科学教室)
座長:吉松 淳(国立循環器病研究センター周産期科)

13:50 〜 15:20

[II-PD5-02] 異なる経過を辿った胎児診断Critical ASの2例

田中 智彦1, 稲村 昇2, 江見 美杉1, 松尾 久実代1, 平野 恭悠1, 青木 寿明1, 高橋 邦彦1, 河津 由紀子3, 萱谷 太1 (1.大阪府立母子保健総合医療センター小児循環器科, 2.近畿大学医学部小児科, 3.市立豊中病院小児科)

キーワード:重症大動脈弁狭窄, 胎児心エコー, 大動脈弁バルーン拡張術

【はじめに】出生後に緊急的介入を要し、異なる経過を辿った胎児診断例CreticalASを2例経験した。その経過を報告する。【症例1】在胎35週HLHS疑いで紹介。CTAR38%、胎児水腫なし。MR severe Vpeak=5m/s,大動脈弁輪径(AVD)3.6mm(Z=-3.6),AS Vpeak=3.3m/s。関係各科カンファレンスにて、出生後早期にPTAV可能な状況を整えて計画的帝王切開の方針を決定。36週5日出生、出生時SpO2 60%台も挿管後90%台に上昇、UCGでLVEF39%,AVD3.7mm(63%ofN),大動脈弁通過血流の流速は検出不可。生後1時間で内頚動脈カットダウンにてPTAV施行。PDA狭小に伴う循環動態悪化ありDay8PTAV2回目。左室収縮不良続き、Day14両側肺動脈絞扼術。Day72 PDA stent留置。以後、PTAV繰り返したが、下肢血流をPDAに依存する状態が続き左室容積減少。2心室修復困難と考えて生後6カ月Norwood+RV-PA shunt手術、9ヶ月Glenn手術施行、現在Fontan手術待機中。【症例2】在胎25週心房拡大で紹介。胎児水腫認め、CTAR40%、MR severeでVpeak=4.3m/s,AVD2.8mm(Z=-4.6),AS Vpeak=2.6m/s。33週時点でPFOrestrictive,MR Vpeak=3.6m/sと低下しており左室機能低下と考えた。カンファレンス実施、肺の成熟を考えれば36週以降の分娩が望ましいが待機期間のIUFDリスクが高いと判断、家族も積極的な治療を希望され早期娩出の方針とした。酸素化が保てない可能性を考え、出生後の酸素化良好ならPTAV、不良ならASD creationと両側PA Bandingの方針とした。33週3日帝王切開にて娩出。挿管後もSpO2 70%台と低く、カテーテル治療のリスクは高いと判断、ASD creation+両側PAB施行。出生時UCGにてLVEF24%, AVD3.4mm(60%ofN),大動脈弁通過血流の流速は検出不可。以後、Day2,34,51と段階的PTAVを繰り返した。それに伴い大動脈弁輪径拡大、LVEF改善認めた。2心室修復可能と判断、生後4カ月AV plasty+ASD closure+PDA ligation、生後1年Ross-Konno手術。以後の経過は良好である。