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[II-PD5-03] 重症先天性心疾患における胎児診断に基づく出生直後の緊急治療についての考察
【背景】救命困難とされる重症先天性心疾患では出生直後の治療介入が必要とされ,当院では,治療オプションを家族に提示,治療の理解をえた後,多職種間合同カンファレンス,シムレーションを行い,緊急治療介入に向かう。【目的】胎児診断に基づく重症先天性疾患に対する生直後の治療介入例について早期成績と予後を検討する。【対象と方法】対象は重症大動脈弁狭窄(cAS)の5例,大動脈弁欠損(AVA)2例,intact IASの左心低形成症候群(HLHS)2例の計9例。両親の同意過程,合同カンファレンス,シムレーション,また出生後から気管内挿管,ライン確保,バルーン施行,人工心肺確立までの到達時間,さらに早期成績,予後などについて調べた。【結果】心臓血管外科と循環器小児科でカンファレンス後,両親に治療オプションを提示,同意を得た。両親の精神的ケアーは産科看護師があたった。術室看護師が中心に作成したシナリオ,配置図を元に多職種間合同カンファレンス,シムレーションを施行。治療は34週 (中央値)に計画的帝王切開後,cASでは経皮的大動脈弁形成術,AVAでは開心術によるASD作成と僧帽弁もしくは大動脈弁閉鎖術,HLHSでは開心術もしくはステントでのASD作成を施行した。帝王切開直後に父母に会わせすぐ処置に向かった。出生から各処置までの所要時間は,気管内挿管2-3分,静脈ライン確保4-11分,内頚動脈確保31-54分,初回BAV46-67分,人工心肺確立30-57分で,全例処置を速やかに成功。cASの5例中3例はバルーンにより正常左室収縮能(LVFS 0.36±6.1)へ回復したが,2例は死亡。AVAの2例はBDGまで到達した。HLHSの症例はステント留置と開心術によるASD作成に成功したが,低酸素血症から離脱できず死亡。【結語】重症先天性心疾患の出生直後の緊急治療介入では,入念な準備を基にしたチーム医療が患者の救命に寄与するが,予後改善についてまだ満足できるものではない。さらに症例の蓄積とチーム内での検討を要するであろう。