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[II-PD5-04] 分娩時期と分娩・治療計画に議論を要する胎児心疾患の臨床像
キーワード:胎児診断, 計画分娩, 重症先天性心疾患
当施設では胎児心疾患合併妊娠においても産科的適応での分娩方針を基本としており、出生直後の侵襲的治療を要する症例について計画分娩を行っている。2014年1月から2017年3月までに、当施設において胎児心疾患・不整脈を理由に計画分娩を行ったのは14例 (帝王切開10例、誘発分娩4例) であった。疾患の内訳は、肺静脈狭窄 (PVO) 7例 (うち右側相同合併4例) 、重症大動脈弁狭窄 (CAS) 3例、卵円孔狭窄を伴う完全大血管転位 (TGA) 2例、頻脈性不整脈2例であった。右側相同症例においては事前に十分カウンセリングを行い、積極的治療の希望があった16例中severe PVOを疑った4例に計画分娩を行った。4例中3例は日齢0に、他の1例は日齢8に手術またはインターベンションを行い全て生存しており、胎児エコーによるPVOの評価は妥当であった。右側相同を伴わないPVOは、1例が出生後左心低形成症候群の循環動態を呈し緩和ケアの方針となったが、他の2例は日齢0に手術を行い生存している。CASは左室機能の悪化を懸念し35-36週のlate pretermで計画分娩を行い日齢0に侵襲的治療を行ったが、2例を失い1例が生存している。TGAは観察期間内の13例中、卵円孔狭窄所見を有した2例に計画分娩と出生直後のバルーン心房中隔裂開術を行い予後良好であった。治療を要する不整脈については、35週を目安に以前は胎児治療、以後は早期娩出を行い予後良好であった。最後に胎児水腫例については、神経学的を含めた予後を考慮し人工心肺手術を要する例では36週、それ以外では32週以降を積極的娩出の適応としており、待機中に5例が胎内死亡となった。観察期間に該当症例のなかった左心低形成症候群・エプスタイン病を含め、分娩・治療の計画にあたっては正確な重症度評価および、疾患の予後を踏まえた事前の十分なカウンセリングが重要である。