第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム 5 (II-S05)
周産期領域のチーム医療

2017年7月8日(土) 10:10 〜 11:40 第1会場 (1F 展示イベントホール Room 1)

座長:田中 靖彦(静岡県立こども病院循環器科)
座長:西口 富三(静岡県立こども病院産科)

10:10 〜 11:40

[II-S05-05] 胎児心臓病家族支援における「チーム医療」

権守 礼美 (神奈川県立こども医療センター看護局 新しい命のためのサポートセンター)

キーワード:胎児心臓病、家族支援、チーム医療

【背景】胎児超音波検査技術の進歩により、多くの心疾患が胎児診断されるようになり、子どもたちの救命や予後の改善に寄与している。しかしその一方で、家族は、妊娠中から不安や悲しみなどの精神的負担を抱えることとなる。そのため、胎児診断における家族の精神的サポートは重要であり、本年、日本胎児心臓病学会に「家族支援委員会」が常設された。【実践】1,先天性心疾患の胎児診断の家族支援においては、多部門・多職種が関わることとなり、その支援は断片的になることがある。そのため、当院では、家族への説明の前に、産科医・新生児科医・小児循環器医・心臓外科医・遺伝科医・母性内科医・助産師・看護師・ソーシャルワーカー・遺伝カウンセラー・専門看護師など多職種合同の「胎児カンファレンス」を必ず開催している。カンファレンスでは、診断確認と方針検討だけでなく、家族背景や意向について情報共有し、家族への説明内容や中心となる家族支援担当者を決定する。そしてそれぞれが、家族のニーズに応じて役割を発揮しながら、連携をとり、継続的な支援を行なっている。2.特に重症複雑心疾患の胎児診断においては、その治療選択にあたって倫理的課題が生ずることも多く、家族支援は、精神的なサポートだけでなく、意思決定支援が極めて重要である。当院では、家族が子どもの治療だけでなく成長発達に対する不安や混乱する気持ちを和らげ、様々な思いに向き合い、子どもと家族にとって最善の選択ができるよう、遺伝カウンセラーや専門看護師がスタッフとともに意思決定支援を行っている。またその家族の意思決定過程を理解しながら出生後の支援へとつなげている。こうした支援は、子どもと家族の治療や疾患管理のためだけでなく、療養環境を整える一助となっていくと言っても過言ではない。本シンポジウムでは、実際の症例を提示し、当院の胎児心臓病家族支援における「チーム医療」について紹介したい。