第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム 6 (II-S06)
Failed Fontanを救うための治療-Fontan術後管理・治療の道標となり得るか?-

2017年7月8日(土) 13:50 〜 15:35 第1会場 (1F 展示イベントホール Room 1)

座長:市川 肇(国立循環器病研究センター小児心臓血管外科)
座長:檜垣 高史(愛媛大学大学院医学系研究科 小児科学・地域小児・周産期学)

13:50 〜 15:35

[II-S06-05] Fontan患者のfailing 循環生理とその治療と管理

大内 秀雄1, 市川 肇2 (1.国立循環器病研究センター 小児循環器, 2.国立循環器病研究センター 小児心臓外科)

Fontan術後成績の向上に伴い、その長期予後改善とQOL向上が臨床上の大きな課題となってきている。また、Fontan術後遠隔期の血行動態破綻はfailing Fontanの主要な臨床上のphenotypeの一つである。しかし、難治性不整脈の合併や、最近では、心臓以外の臓器障害もfailing Fontanのphenotypeの一つであることからfailing Fontanの定義はより複雑で曖昧である。従って、その対処法も確立させていないのが現状と言える。そこで、今回はFotnan患者の心血行動態のfailingに着目し、その特徴を明らかとすることで、そのfailing hemodynamicsの対処について議論したい。従来よりフォンタン循環の特色は高い中心静脈圧(CVP)と低い心拍出量(CO)とされ、さらに軽度の低い動脈酸素飽和度(SaO2)(低酸素血症)である。一般には、これらの特徴の極端な異常、即ち、極端に高いCVP、低いCO、そして低酸素血症のいずれかを合併した場合、failing Fontan circulationに分類される。この循環の特徴は高CVPで低COの心不全(heart failure:HF)と言える(HF with high CVP and low CO:H-CVP-HF c L-CO )。これらの各要因(CVP、CO、SaO2)に対し様々な病態が関与することから、このfailingに対する対処法は一様でない。更に、最近我々は、特に成人期に、不適切に体血管抵抗が低下することによる高いCO由来の高CVPを示すfailing hemodynamic phenotype(HF with high CVP and high CO:H-CVP-HF c H-CO)の存在を示した。この新たな病態が従来のHF with high CVP and low CO より重症で予後が不良であることを示した。この病態の詳細とその対応はまだ確立していない。今回のシンポジウムではこれらfailing hemodynamic phenotypeから見たその治療と管理法について議論したい。