第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム 7 (II-S07)
小児循環器集中治療の未来 ―小児循環器・心臓血管外科・麻酔集中治療とのコラボレーション―

2017年7月8日(土) 16:30 〜 18:00 第1会場 (1F 展示イベントホール Room 1)

座長:竹内 護(自治医科大学麻酔科学・集中治療医学)
座長:松井 彦郎(長野県立こども病院小児集中治療科)

16:30 〜 18:00

[II-S07-03] 心臓血管外科・集中治療医から見たこれからの集中治療体制のあり方

長谷川 智巳 (兵庫県立こども病院 小児集中治療科)

キーワード:Cardiac ICU, 小児集中治療科, 心臓血管外科

本邦の先天性心疾患の手術成績および生命予後は、胎児期を含めた術前診断の進歩、手術手技の向上、人工心肺システムの改良、周術期管理の発展などによって近年飛躍的に向上した。特に周術期における集中治療管理の果たす役割は大きいが、本邦の小児領域における集中治療室(ICU)の診療体制は施設ごとに異なり、未だ統一されていないのが現状である。先天性心疾患の周術期管理を担うcardiac ICUの診療には、集中治療科が主体となって携わっている施設が多い欧米に対して、本邦では心臓血管外科や小児循環器内科が主治医制で対応している施設が今なお多い。兵庫県立こども病院(当院)は、1970年に本邦2番目の小児専門病院として開設され、わが国有数の小児医療の中核施設として活動してきた。年間200例近くの開心術が行われ、年間300人前後の患児をcardiac ICUに収容するが、当院では術前管理を主に小児循環器内科医が、術後管理を心臓血管外科医が担う体制で、先天性心疾患の周術期管理の向上に努めてきた。開院後40年以上が経過し、施設の老朽化や狭隘化、疾病構造や医療ニーズの変化に対応するため、当院は2016年5月1日に新病院へ移転した。これを機に集中治療部門の強化を図るべく、cardiac ICUを含めたICU病床27床をワンフロアーに集約し、これを一括して管理する小児集中治療科が新設された。これまで心臓血管外科医として先天性心疾患の周術期管理に携わってきた演者は、一昨年に集中治療専門医を取得して、新病院移転後は小児集中治療科の一員として現在ICU業務に専従している。今回のシンポジウムでは、当院における新旧cardiac ICUの管理体制を比較しながら、心臓血管外科出身の集中治療医から見たこれからの小児cardiac ICUの管理体制のあり方について提言したい。