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[II-TRO1-03] 先天性心疾患のために母児分離をした母親の思い~NICU入院中に転院を複数回重ねたケースに着目して~
Keywords:先天性心疾患, 転院, 母親の思い
【背景・目的】A病院では、先天性心疾患を持つ児の搬送入院を受け入れている。しかし、手術が必要な場合B病院に転院し、術後管理目的で再度A病院へ転院している。先行研究では、先天性心疾患児を持つ母親の思いは明らかにされているが、児が転院を複数回繰り返す場合の母親の思いに焦点を当てたものは見当たらないため、本研究により明らかにする。【方法】先天性心疾患児を持つ母親に半構成面接を行い、逐語録を作成後、カテゴリー化し、質的分析を行なった。【倫理的配慮】当院倫理委員会の承認を得て実施した。【結果・考察】第1転院時期を他院よりA病院への搬送入院時まで、第2転院時期をA病院からB病院へ転院し手術を受けた後まで、第3転院時期を術後管理目的でA病院へ転院し自宅退院するまでの間とした。第1転院時期では、「すぐに転院となり大変だった」、「治療ができることになり安心した」。第2転院時期では、「治療のためなら転院も納得できた」、「更なる転院により病状の深刻さを感じた」。第3転院時期では、「転院することで安心でき、納得していた」、「児との関わりがうれしかった」という結果が得られた。先天性心疾患児の出生直後の母親は、疾患の予後や母子分離などに強い不安を感じていると言われている。繰り返す転院に関しては、展開が早いことに負担を感じているものの、治療のためには転院が必要であると考え、納得していた。A病院は総合病院であるにも関わらず、手術のためにさらにB病院へ転院が必要となったことから、母親は児の病状の深刻さを感じたと考えられる。先天性心疾患児を持つ母親の思いに焦点を当てた先行研究では、母親は児が元気に生きるために手術は必要なことであると捉えている。また、無事に手術が終わり児と関わりを持つことによって、生命の危機を脱し、児が安全圏に入ったと感じることが明らかになっており、本研究と相違なかった。