第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演(多領域専門職部門)

周手術期・遠隔期

一般口演(多領域専門職部門) 2 (II-TRO2)
周手術期・遠隔期

2017年7月8日(土) 14:50 〜 15:50 第2会場 (1F 展示イベントホール Room 2)

座長:三浦 稚郁子(日本心臓血圧研究振興会榊原記念病院 看護部)

14:50 〜 15:50

[II-TRO2-01] A院ICUにおける心臓術後の集中治療を受ける患児へのディベロップメンタルケアに関する現状と課題

平井 友恵, 中野 悦代 (聖隷福祉事業団総合病院 聖隷浜松病院)

キーワード:ICU, 心臓術後, ディベロップメンタルケア

【背景】新生児集中治療領域では、早産児やハイリスク新生児の成長発達を促すためのディベロップメンタルケアが一般化されている。A院ICUで心臓術後の集中治療を受ける患児に対しても、最優先される安全な治療やケアと共に、子どもや家族のQOLを考慮したディベロップメンタルケアが必要と考える。【研究目的】ICUに勤務する看護師のディベロップメンタルケアに対する認知度と知識、及びケア提供の現状を調査し、良質なディベロップメンタルケア実践のための課題を検討する。【研究方法】対象:ICUに勤務する看護師89名方法:ディベロップメンタルケアに対する知識とケアの実態をアンケート調査【倫理的配慮】 A院臨床研究審査委員会の承認を得た上で、調査対象者に承諾を得た【結果】アンケート回収率61.2%1歳未満小児の担当経験がある看護師36名(A群)、ない看護師19名(B群)。A群は、53%がディベロップメンタルケアの知識、44%が良肢位の知識を持っており、体位や抑制が苦痛を与えることを78%が知っていた。また、ディベロップメンタルケアが実施出来ているとの回答は5%、実施出来ていないとの回答は69%であり、実施出来ていない理由は、正しい知識が無い、呼吸・循環動態の安定を優先、人工呼吸器やルート・チューブ類のトラブル防止の安全管理優先のためだった。良肢位保持が出来ているとの回答は42%だった。B群は、言葉を知っていると53%が回答したが具体的な知識は無かった。A、B群の94.5%は、正しい知識が獲得できれば実施できると回答した。【考察】患児の将来を見据えたケア提供の必要性を感じながらも、安全な医療提供を最優先していた実態の背景には、ディベロップメンタルケアに関する知識が不十分な状況があった。しかし、知識獲得のニーズが明確になったことから、集中治療という環境下でも成長発達に合わせた良肢位保持や身体拘束を実践できる対策の検討が課題だと分かった。