The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Free Paper Oral(multiple job category)

周手術期・遠隔期

Free Paper Oral(multiple job category)2 (II-TRO2)

Sat. Jul 8, 2017 2:50 PM - 3:50 PM ROOM 2 (Exhibition and Event Hall Room 2)

Chair:Chikako Miura(●●)

2:50 PM - 3:50 PM

[II-TRO2-06] 先天性心疾患術後遠隔期の小児患者における身体活動の意思決定バランスと運動耐容能の関係に関する検討

藤田 吾郎1, 浦島 崇2,3, 安保 雅博4 (1.東京慈恵会医科大学附属病院 リハビリテーション科, 2.東京慈恵会医科大学附属病院 小児科, 3.愛育病院, 4.東京慈恵会医科大学 リハビリテーション医学講座)

Keywords:先天性心疾患, 意思決定のバランス, 運動耐容能

【背景】近年、適切な医学的管理が行われている先天性心疾患(CHD)患児においては、適正な運動や身体活動機会を設けることが推奨されている。運動習慣を獲得するための行動変容には、医学的要因だけでなく心理的要因も大きく関与しており、運動に関する意思決定のバランス、即ち運動によって得られる恩恵と負担に関する自覚のバランスが関係するといわれている。【目的】運動に関する意思決定のバランスについて、CHD患児と健常児を比較すると共に、運動耐容能との関係を検討することにより、その特徴を明らかにすることを目的とした。【方法】対象はCHD術後遠隔期患児19例(12.7±2.2歳、全例NYHA Class I)と健常児15例(13.1±3.0歳)。意思決定のバランスの評価には、子ども用身体活動の恩恵・負担尺度を用いた。運動耐容能の評価は心肺運動負荷試験を実施してpeak VO2を求めた。統計解析は、両群間の身体活動の恩恵尺度得点、負担尺度得点をMann-WhitneyのU検定を用いて比較した。またCHD群のpeak VO2と各尺度得点間の相関分析を実施した。本研究は東京慈恵会医科大学倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】両群間の身体活動の恩恵尺度得点(p=0.258)、負担尺度得点(p=0.302)に有意差はなかった。peak VO2はCHD群68.8±13.2% of normal、健常群104.28±12.2% of normalでCHD群が有意に低かった(p<0.001)。CHD群において、peak VO2と恩恵尺度得点の間に有意な相関は無かったが(r=0.238、p=0.327)、負担尺度との間に有意な負の相関を認めた(r=-0.605、p=0.006)。【考察】CHDの有無による身体活動の意思決定のバランスに違いは認めなかったが、CHD患児においては運動耐容能が身体活動の負担の知覚に影響している可能性が示唆された。運動耐容能が特に低いCHD患児に対する運動指導においては、負担認知を軽減させる関わりを行うなど、体力水準にあわせた行動変容のアプローチが重要だと考える。