The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Free Paper Oral(multiple job category)

ケア実践・チーム連携

Free Paper Oral(multiple job category)3 (II-TRO3)

Sat. Jul 8, 2017 4:10 PM - 5:10 PM ROOM 2 (Exhibition and Event Hall Room 2)

Chair:Yuriko Murayama(Seirei Hamamatsu General Hosital)

4:10 PM - 5:10 PM

[II-TRO3-01] トレプロスチニル導入若年患者への看護に関する一考察~その1 最初の痛みを乗り越えるための支援~

森野 菜穂子, 山本 侑祐, 三原 加恵, 笹川 みちる, 永吉 直美 (国立循環器病研究センター 看護部)

Keywords:トレプロスチニル持続皮下注射療法, 疼痛緩和, 若年患者

【はじめに】特発性肺動脈性肺高血圧症に対するトレプロスチニル持続皮下注射療法は100%痛みが伴うと言われており先行研究では「注射部位疼痛を理由に中止する症例が多かった」と報告されている。今回20歳の女子大生に本治療の導入を経験し治療に対する思いを支え、痛みのコントロールができた事例について報告する。本発表は患者の許可を得た。
【看護の実際】患者は今までの治療経過と自分のライフスタイルからこの治療に対し「これしかない」という強い意志があった。そこで患者目標を1.トレプロスチニル自己皮下注射の技術の早期獲得2.治療への意志の保持と穿刺や薬の副作用による痛みのコントロール方法の体得とした。1へは早期に手技獲得できるよう一度の見学後説明しながら薬液の吸い上げや機械の操作を一緒に実施した。機械操作はスムーズで自分のペースで理解し取り組む事ができており自己効力感を高められるよう、承認を強化した。2へは穿刺部の痛みを鎮痛剤の段階的使用や冷温罨法で緩和し痛みのピークを乗り越える重要性を説明した。「痛みの管理日誌」を活用し、毎日痛みの程度と鎮痛薬の効果、副作用症状を患者と共に確認し、患者自身が状況判断できるようにした。穿刺はドライカテーテル法を用い、刺し易く痛みの少ない箇所を一緒に探し実施した。刺し替えと流量増量の時期が重なると日中ほぼ寝て苦痛に耐えている状況であったため医師へ情報提供し時期を変える事を検討し乗り切ることができた。
【考察】患者自身が痛みのコントロールができそれを乗り越えた経験となるよう意志を支える事が治療継続の強みになるといえる。また強い意志があると痛みに対し必要以上に我慢してしまう事があるため、患者の訴えをキャッチし医師へ情報提供することが看護師の役割であると考える。今後、発達段階の異なる小児への治療導入時は、他職種と連携し疼痛緩和や患者と家族の意志を支えるシステム作りを行う必要がある。