E-Oral Presentation　8 (III-EOP08)

[III-EOP08-06] 内臓錯位症候群における不整脈発生の長期予後について

^○西川 由衣, 朝海 廣子, 白神 一博, 進藤 考洋, 平田 陽一郎, 犬塚 亮, 岡 明 (東京大学 医学部 附属病院 小児科)

Keywords:内臓錯位症候群, 不整脈, 予後

【背景】内臓錯位症候群において、右側相同(以下RAI)では頻脈性不整脈、左側相同(以下LAI)では洞不全や房室ブロック等の徐脈性不整脈を呈することがある が、その発生頻度や長期予後に関する報告は少ない。我々は内臓錯位症候群における不整脈発生頻度及びリスク因子について検討したので報告する。
【方法】2000年から2014年の間に当院にて診療した内臓錯位症候群の患者を対象とした。他院での手術例や心電図等データが不足している症例は除外した。心奇形、手術、不整脈発生の有無、心電図及び心エコー所見をカルテから抽出した。不整脈診断や発生頻度を検討し、Kaplan-Meier法で発生率を解析した。また、不整脈発生に対するリスク因子の検討を単変量解析にて行った。
【結果】内臓錯位症候群42名が同定され、うちLAI 18/42 (43%)、RAI 24/42(57%)であった。死亡例は13名[LAI 4/18(10%), RAI 9/24(21%);p=0.33]、不整脈関連死は1名であった。平均のフォローアップ期間は5.2±5.3歳であった。不整脈発生はLAIで13/18(72%)、RAIで9/24(31%)とLAIで優位に多かった(p＜0.05)。LAIでは洞不全9例、房室ブロック3例等、一方RAIでは上室性頻拍4例、異所性心房頻拍3例と異なる不整脈発生が見られた。1歳・3歳・5歳での不整脈発生率はLAIで各々23.0%、53.3%、68.9%、RAIで各々 17.4%、23.3%、31.0%であった。心房位、性別、単心室循環の有無、手術回数、TAPVC修復や房室弁の手術の有無、房室弁逆流の程度はいずれも不整脈発生のリスク因子として有意差は得られなかった。
【結論】内臓錯位症候群における不整脈発生率は高く、特に左側相同では3歳時で半数以上に認めた。不整脈発生のリスク因子は同定できなかったが、今後も症例数を蓄積し検討する必要がある。