第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

E-Oral Presentation

電気生理学・不整脈

E-Oral Presentation 8 (III-EOP08)
電気生理学・不整脈

2017年7月9日(日) 13:00 〜 14:00 E-Oral エリア (1F 展示イベントホール)

座長:牛ノ濱 大也(大濠こどもクリニック)

13:00 〜 14:00

[III-EOP08-07] アミオダロンを経口投与した小児症例の有効性・安全性の検討

福島 直哉, 高砂 聡志, 山田 浩之, 住友 直文, 宮田 功一, 永峯 宏樹, 大木 寛生, 三浦 大, 澁谷 和彦 (東京都立小児総合医療センター循環器科)

キーワード:アミオダロン, 甲状腺機能異常, 肝機能異常

【背景】. 成人領域ではアミオダロン内服の有効性, 安全性に関する検討が多く報告されているが, 小児領域では少ない. 【目的】当院におけるアミオダロンの使用実績から, 小児に対する使用法, 有効性・安全性を評価すること. 【方法】2011年4月~2016年12月に入院した20歳未満のアミオダロンを内服した不整脈症例を対象とし,後方視的に調査した. 【結果】対象は16例で, 年齢は中央値 1.5 (最小 0.06-最大 19.7)歳, 男女比は 6: 10, 先天性心疾患を有する症例は 8例 (周術期 7例), 心筋症3例, 心筋炎 2例, 心臓線維腫 1例, 基礎心疾患なし 2例であった. 不整脈の起源は 上室性が 7例 (心房頻拍 5例, 発作性上室頻拍 1例, 接合部頻拍 1例), 心室性が 9例 (心室頻拍 7例, 心室期外収縮 2例)であった. 上室性の有効例は 2例, 心室性の有効例は 8例で, 有意に心室性で有効であった (P = 0.035). 維持量は, 中央値6.5 (最小 2.5 - 最大 15)mg/kg/日, 内服継続期間は中央値 193 (最小 16 - 最大 1815)日であった. 30日以上内服した症例14例で副作用を調べた. 甲状腺機能異常は 3例(低下症2例, 潜在性機能低下症1例)であった. 肝障害は 5例で見られたが, 4例は軽症で服薬量の調整を行わずに軽快した. 内服後に徐脈傾向を示したのは 3例 (1例はカルベジロール併用), 補正QT時間 (Fridericia)が 460 msec以上を示したのは 2例で, いずれも 10歳以上の年長児であった. 甲状腺機能異常, 肝機能異常, QT延長のいずれかを呈した症例は 14例中 5例 (35%)であった. その他, 明らかな肺毒性, 神経学的異常や眼病変を呈した症例は認めなかった. 【考察】 アミオダロンは, 心室性不整脈では有効で上室性不整脈では無効のことが多かった. 副作用の頻度 (35%) は, 成人での既報告と同等であり, 小児においても内服中および内服中止後(アミオダロンの半減期を考慮し半年程度)も定期的に検査を行う必要がある.