第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

E-Oral Presentation

その他

E-Oral Presentation 9 (III-EOP09)
その他 1

2017年7月9日(日) 13:00 〜 14:00 E-Oral エリア (1F 展示イベントホール)

座長:馬場 志郎(京都大学大学院医学研究科 小児科)

13:00 〜 14:00

[III-EOP09-06] 早産児における左房容積および動脈管開存症評価:PLASE研究(PDA and Left Atrial Size Evaluation study)の経過と今後の展望

増谷 聡, 豊島 勝昭, 小林 徹, 諌山 徹哉, 横山 岳彦, 川崎 秀徳, 長澤 宏幸, 岩見 裕子 (PLASE study研究グループ)

キーワード:PDA, preterm infant, echocardiography

【目的】PLASE研究は、早産児の動脈管開存症の臨床・検査所見の推移が、動脈管外科的治療の必要性を予測可能かを検証する多施設共同前方視的観察型研究である。進捗状況、中間解析結果、今後の展望をまとめた。
【方法】PLASE研究は全国35NICUで、除外基準を満たさない、在胎23週から29週までの早産児を対象とした。患者背景・予後、日齢1、3、7、14日、COX阻害薬初回治療投与前、動脈管手術前後の心エコー検査結果等を収集した。心エコーは予め精度管理を経た検者が施行した(255名)。心エコー計測値の施設間格差(測定精度)の評価を目的に中間解析を実施した。心エコー計測値7変数を出生体重を共変量としてモデル化(三次曲線)し、各変数の散布図と箱ひげ図を作成し、各施設と全国の分布とを視覚的に比較した。
【結果】研究開始前に実施した精度管理データの結果、検者間の測定誤差が許容範囲を超えたため、研究開始を半年遅らせて検者間測定誤差の解消を行った。2015年10月より登録(目標症例数500例)を開始し、2016年12月の登録数は585例(うちデータ固定368例)と予定期間で目標症例数に到達し、同月で新規症例登録を終えた。事前に定めたデータマネジメント計画実施により、固定済み症例に必須入力項目の欠損値はほぼ存在しなかった。データ登録のあった29施設において、心エコー計測値7変数のうち、計測の系統誤差の存在が視覚的に疑われたのは、のべ13項目(6%)のみであった。
【今後の展望】全症例固定次第、主研究の解析・結果公表予定である。新生児科医と小児循環器医が協働し、施設・個人の心エコー技術の精度管理がなされ、心エコー技術の一定の向上と標準化につながったと考えられた。本研究を基盤として患者立脚型アウトカムを主要アウトカムとした研究を行うとともに、PDA至適治療時期の検討や持続可能な研究実施体制構築を目指す。