The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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E-Oral Presentation

その他

E-Oral Presentation 9 (III-EOP09)

Sun. Jul 9, 2017 1:00 PM - 2:00 PM E-Oral Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Shiro Baba(Department of Pediatrics, Graduate School of Medicine, Kyoto University)

1:00 PM - 2:00 PM

[III-EOP09-07] iPS細胞を用いた心筋細胞分化における新生児型Naチャネルの発現

羽山 恵美子1, 古谷 喜幸1, 島田 光世1, 川口 奈奈子1, 大路 栄子1, 松岡 瑠美子2, 稲井 慶1, 中西 敏雄1, 朴 仁三1 (1.東京女子医科大学 医学部 循環器小児科, 2.若松河田クリニック)

Keywords:iPS細胞, 心筋細胞, Naチャネル

【背景】当研究室では、先天性心疾患、心筋症、不整脈をはじめとした多様な小児期発症心疾患患者およびその家族から血液を得、これまでに4400株の不死化B細胞株を樹立して、疾患原因遺伝子ならびにその変異を同定してきた。現在、この細胞株からiPS細胞を樹立し、心疾患の病態解析や創薬スクリーニングに利用できる疾患モデルの樹立のための検討を行っている。LQT3/ブルガダ症候群などの原因遺伝子の一つであるNaチャネル(Nav1.5)には、胎児・新生児期に高発現する新生児型のmRNAがあることが知られている。【目的】iPS細胞から分化誘導した心筋細胞における新生児型Nav1.5遺伝子の発現を検討する。【方法】成人心臓・胎児(31週)心臓試料並びに、iPS細胞から心筋細胞分化誘導時における経時的な細胞試料について、新生児型・大人型のNav1.5 mRNAを定量PCR法により定量した。【結果・考察】胎児心臓では、新生児型と大人型NaチャネルmRNAの発現はほぼ同等であった。成人心臓でも、新生児型は各心部位で一定量発現するが、大人型に対する新生児型の割合はごく低かった。未分化iPS細胞でも、新生児型が大人型より高発現していた。iPS細胞から心筋細胞を分化誘導すると、新生児型Naチャネルの発現は一旦低下するが、大人型の発現が分化15日以降増加するにつれてわずかに増加した。実際のヒト組織では、成人では新生児型に比べて大人型が大部分になるが、iPS細胞由来では、分化45日においても、大人型に対して新生児型の発現は低めではあるが、成人心組織における新生児型の割合より高かった。これらの結果は、iPS細胞由来分化心筋細胞には、新生児型Naチャネルが高比率で存在する可能性を示す。新生児型と大人型Naチャネル遺伝子の発現比は、心筋細胞の成熟度の目安になると考えられるが、心筋細胞以外の細胞の存在の検討も必要である。