E-Oral Presentation　10 (III-EOP10)

[III-EOP10-01] 側副血行路塞栓術がTCPC施行前後の推定腎糸球体濾過量(eGFR)に及ぼす影響

^○佐々木 智章¹, 杉谷 雄一郎¹, 郷 清貴¹, 連 翔太¹, 兒玉 祥彦¹, 倉岡 彩子¹, 中村 真¹, 佐川 浩一¹, 石川 司朗¹, 中野 俊秀², 角 秀秋² (1.福岡市立こども病院 循環器科, 2.福岡市立こども病院 心臓血管外科)

Keywords:eGFR, 側副血行路塞栓術, TCPC

【背景・目的】
機能的単心室症例へのTCPC施行は、酸素化改善の一方、静脈圧上昇をきたし、腎血流への影響は明確でない。TCPC症例での側副血行路は、体循環から肺動脈へ還流し体循環を減少させる。TCPC手術と側副血行路の腎血流への影響を検討した。
【方法】
当院において2011～2015年にTCPC施行した111例について、身長・血清Cr値より算出したeGFR(mL/min1.73m^2)をTCPC術前後及び側副血行路塞栓術の有群73例、無群38例に分け評価した。両群の血行動態指標は、心臓カテーテル検査によるSaO2(%)、IVCP(mmHg)、PAP(mmHg)、CI(L/min/m^2)、PVR(Woodunit)で検討した。
【結果】
eGFR(TCPC施行前/後)：94.4±16.7/98.6±15.8(P:0.037)が有意に上昇、SaO2：87.1±3.1/94.7±1.7(P:＜0.0001)、IVCP：4.3±1.8/10.6±2.1(P:＜0.0001)、PAP：8.6±2.4/9.5±2.1(P:0.0001)、CI：4.0±0.9/3.5±0.9(P:＜0.0001)、PVR：1.3±0.6/1.6±0.7(P:＜0.0001)と有意な変化を認めた。また、eGFR塞栓有群(前/後):94.4±17.6/98.9±15.3(P:0.01)、無群:94.5±15.1/97.8±17.1(P:0.16)と有群のみで有意な上昇を認めた。TCPC施行前後での塞栓有/無群別のeGFR比較では、前(有/無):94.4±17.6/94.5±15.1(P:0.735)、後:99.0±15.3/97.8±17.0(P:0.835)と有意差を認めなかった。
【考察・結論】
TCPC施行前後では、有意な心拍出低下や静脈圧上昇によるGFRを低下させる要因を認めたにも関わらず、有意なeGFR上昇を認めた。チアノーゼ腎症はGFR低下を招くことが報告されており、酸素化の改善や側副血行路塞栓術による心拍出量増加がeGFRを有意に上昇させたと考えられる。