E-Oral Presentation　10 (III-EOP10)

[III-EOP10-03] 大動脈低形成を伴う右心系単心室の早期の体肺側副血管コイル閉鎖術の効果

^○星名 哲¹, 水流 宏文¹, 額賀 俊介¹, 鳥越 司¹, 羽二生 尚訓¹, 沼野 藤人¹, 白石 修一², 高橋 昌² (1.新潟大学医歯学総合病院 小児科, 2.新潟大学医歯学総合病院 心臓血管外科)

Keywords:左心低形成症候群, 体肺側副血管, コイル閉鎖術

【背景】両側肺動脈絞扼術を含めた治療戦略により、左心低形成症候群（HLHS)およびその類縁疾患の予後は改善しているが、複数回にわたる手術、低酸素血症により早期に体肺動脈側副血管（APCA)が発達しやすい。APCAの発達は、心室容量負荷による心機能低下や房室弁逆流の増悪、肺動脈圧の上昇をきたし、短期的、長期的予後に悪影響を及ぼす。我々はこの疾患群に BDG手術後比較的早期に 体肺動脈側副血管塞栓術を施行しており、その効果について検討する。【対象】左心低形成症候群およびその類縁疾患で BDG手術後早期にコイル閉鎖術を施行した7例についてBDG手術前後の側副血管の発達の程度、コイル閉鎖術前後の血行動態、BNPについて検討した。【結果】心形態はHLHS 2例、 MS/MA DORV hypoLV hypo Arch CoA 3例 asplenia AVSD hypoArch CoA1例 polysplenia AVSD hypo LV hypo Arch 1例 初回手術はbilPAB 6例 mPAB1例。2期手術はNorwood 5例、Norwood-BDG1例 BDG１例 BDG手術施行時期は平均日齢 176日（106日-230日）。2例はBDG術前から大量のAPCAが判明しておりBDG時にITAclippingを施行。コイル塞栓術施行時期はBDG手術後 平均140日。全例で鎖骨下動脈から中等量から多量のAPCAが発達。1本から7本のAPCAを閉鎖した。APCAコイル閉鎖術後に術前RVGを施行していた3例全例で％RVEDVは低下、BNPは全例で低下していた。1例で房室弁逆流が有意に減少した。2例がFontan手術に到達し5例が待機中。Fontan前にはAPCA軽度増加あり再度コイル閉鎖術を施行した。【結語】大動脈低形成を伴う右心系単心室は、BDG術後早期に側副血管の発達を認めること多く、心機能に影響する。同疾患に対する早期のコイル閉鎖術は、右室容量負荷を減少、 RVEDPの低下、肺動脈圧の低下、弁逆流の改善に寄与し、短期的 長期的な予後を改善させる可能性がある。