E-Oral Presentation　10 (III-EOP10)

[III-EOP10-05] 乳児拡張型心筋症重症心不全例に対する補助人工心臓の適応に関する検討

^○鳥越 史子¹, 小垣 滋豊¹, 廣瀬 将樹¹, 髭野 亮太¹, 石井 良¹, 石田 秀和¹, 成田 淳¹, 平 将生², 上野 高義², 澤 芳樹², 大薗 恵一¹ (1.大阪大学 医学部附属病院 小児科, 2.大阪大学 医学部附属病院 心臓血管外科)

Keywords:拡張型心筋症, 心移植, LVAD

【背景】乳児拡張型心筋症では心移植しか救命することができない重症心不全例があり移植までの橋渡しとして補助人工心臓が必要になることがある。2015年小児用体外設置式補助人工心臓（EXCOR）の保険適応が承認されたが国内での移植待機は長期にわたると想定され、また血栓や脳出血のリスクもありEXCOR装着の必要性に関しては慎重な選択が必要である。
【目的】乳児拡張型心筋症で内科的心不全管理からEXCORへの移行が必要となる層別化に関わる因子を検討すること。
【方法】2014年から2016年までEXCOR装着目的で紹介された6症例でEXCOR装着に至った例と内科的管理を継続した例の臨床像の差異を後方視的に検討。
【結果】紹介時年齢4ヶ月から1歳3か月(中央値:9か月)。6例中4例は人工呼吸管理下で、体重(SD)は-5.34～-0.48SD(中央値:-1.44SD)と体重増加不良を認め、胸部エックス線CTR:61～75％(中央値:64.5％)と著明な心拡大と5例に肺うっ血を認めた。BNP値は173～3699 pg/ml(中央値:1065 pg/ml)と高値を示し、心エコーでLVEF:8.3～47.9%(中央値:14.1％)、LV-Tei:0.31～0.65(中央値:0.33)、TAPSE:7.3～19.6(中央値:12.7)と両心室機能の低下があり全例に僧帽弁閉鎖不全(中等度5例、中等度以上1例)を認めた。3例で気管支喘息を合併。全例カテコラミン持続点滴中であったが、利尿薬、ACE阻害薬、β遮断薬の投与量に関してばらつきがあった。6例中3例はEXCOR装着に至り、3例は内科管理を継続しそのうち1例は内服治療で退院となった。
【考察】EXCOR装着に至る症例は著明な体重増加不良があり、僧房弁閉鎖不全が中等度以上あるいは経過中増悪傾向がみられた症例であった。心機能指標での層別化は明確にできなかった。
【結語】乳児拡張型心筋症ではEXCORを装着する時期を逸しない症例がある一方、内科管理のみで治療継続可能な症例が存在する。さらに症例を蓄積することでEXCOR装着の層別化因子が明らかになることが望まれる。