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[III-EOP10-07] 小児期心房中隔欠損の診断における右脚ブロック以外の心電図所見の意義
Keywords:学校検診, 先天性心疾患, 心電図
【背景】心房中隔欠損(ASD)は学校検診で発見される主な疾患であり、早期の診断治療が予後と関連することが知られる。学校検診においてASD診断の契機となる心電図抽出所見として、R<R’である右脚ブロック(RB)がよく知られるが、V4陰性T波(V4T)、Crochetage(CRO)、下方誘導でのST-T変化(iST)を認めることもあり、これら所見の意義を検討した。【方法】2009年-2016年に大学病院(県唯一のカテ治療認定施設)にて、心カテを行ったASD例を対象として、診断の契機、心カテ評価時の心電図所見と血行動態指標(Qp/Qs, 平均肺動脈圧)を検討した。手術またはカテーテル閉鎖例では、閉鎖後6か月、12か月の心電図所見を解析した。【結果】対象は、94名(男/女:42/52;年齢15.3±16.7;18歳以下:74名;19歳以上:20名;閉鎖例:88例)であった。診断契機は、学校検診26 (28%), 乳児検診25 (27%), 症状19(20%)、NICU入院13 (14%), 他疾患の検査7 (7%), 成人検診4 (4%) であった。心電図異常の頻度は18歳以下例で高く(RB[73 vs 35%, p<.01]、V4T[45 vs 0%, p<.01]、CRO[42 vs 12%, p<.05]、iST[22% vs 6%,p=.18])。典型的RB(R<R’)を認めた46例以外の45例中、V4T、CRO、iSTのいずれかを19例(20%)で認めた。iST(+)例では(-)例より、肺動脈圧が高く(<.05)、V4T(+)例では、(-)例よりQp/Qsが高かった(<.05)。術後6、12か月での所見減少率は、iST、V4T(83.2 - 91.1 %;76.9 - 83.4 %)で高かった。【考察】ASDに特徴的な心電図所見は、18歳以上例では少なく、RBBBとV4陰性Tは、右室容量負荷と、aVFのST変化は右室圧上昇と関連した。V4陰性T波、aVFのST変化は術後6か月で70-80%、術後12ヶ月で、80-90%で消失する所見であった。【結語】小児期のASDに特徴的な心電図所見として、RB以外にiST、V4NTは、典型的RBを認めない例でも認められ、血行動態異常や術後変化を反映し、本症の初期診断上重要な所見である。