9:30 AM - 10:20 AM
[III-OR40-01] ACE阻害薬投与でアルギニンバソプレシンの非浸透圧性分泌が生じる
Keywords:アルギニンバソプレシン, ACE阻害薬, 非浸透圧性分泌
【背景】ACE阻害薬(ACEI)は心不全の治療で重要な薬であるが、注意すべき副作用の1つとしてアルギニンパソプレシン(AVP)の非浸透圧性分泌の報告がある。そして、AVP非浸透圧性分泌は抗利尿ホルモン分泌異常症(SIADH)を生じうる。【目的】ACEI投与時のAVP分泌について検討すること。【方法】当院で2015年1月から2016年11月の間にACEIが開始された小児心疾患患者32名の中で、ACEI開始前のAVPが血漿浸透圧(pOsm)から推定される値であった10名を対象とした。ACEI投与後のAVPがpOsmから推定される値よりも高値の場合をAVP非浸透圧性分泌と定義した。また、pOsm <280 mOsm/kg H2O, 血清ナトリウム(sNa) <135 mEq/L, 尿浸透圧 >100 mOsm/kg H2O, 尿Na >20 mEq/LでAVPが測定感度以上検出される場合をSIADHと診断した。【結果】年齢は4.0± 5.3歳、投与されたACEIはシラザプリルが7名、エナラプリルが3名であった。ACEI投与前後で、pOsmは284.4 ± 7.1から283.5 ± 7.3 mOsm/kg H2O(p=0.81)、sNaは138.1 ± 3.8から137.6 ± 2.9 mEq/L(p=0.78)、AVPは2.0 ± 1.2から2.6 ± 2.2 pg/mL(p=0.38)。AVP非浸透圧性分泌を呈したのは4名(40.0%)で、1名は症状を伴わなかったがSIADHと診断された。【結論】ACEI投与後、約半数でAVPの非浸透圧性分泌を呈し、1名はSIADHの診断基準を満たした。ACEIによりAVPの非浸透圧性分泌が生じることが示唆された。