第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

カテーテル治療

一般口演 42 (III-OR42)
カテーテル治療 3

2017年7月9日(日) 09:20 〜 10:10 第6会場 (1F 展示イベントホール Room 6)

座長:矢崎 諭(榊原記念病院 小児循環器科)

09:20 〜 10:10

[III-OR42-03] 位相差MRI流量分析によるFontan手術候補患者に対する大動脈肺動脈側副血行コイル塞栓術の治療効果判定

大木 寛生1, 高砂 聡志1, 山田 浩之1, 住友 直文1, 宮田 功一1, 福島 直哉1, 永峯 宏樹1, 三浦 大1, 澁谷 和彦1, 寺田 正次2, 西村 玄3 (1.東京都立小児総合医療センター 循環器科, 2.東京都立小児総合医療センター 心臓血管外科, 3.東京都立小児総合医療センター 放射線科)

キーワード:大動脈肺動脈側副血行, コイル塞栓術, MRI

【背景】Fontan手術候補患者の大動脈肺動脈側副血行(APC)に対するコイル塞栓術(CE)の治療効果に関して見解は定まっていない.
【目的】Glenn術後(CE前)とFontan術後(CE後)に位相差MRI流量分析によるAPC定量を行いCEの治療効果判定を行う.
【方法】対象は2009~2016年にGlenn術後(CE前)とFontan術後(CE後)にMRIによるAPC定量を行った25症例50セッション.APCは直接法(肺静脈合計-肺動脈合計)と間接法(上行大動脈-体静脈合計)の平均で算出しCE前後で比較した.左右鎖骨下動脈,胸腹部大動脈選択造影で肺動静脈への流入が描出され2Frマイクロカテーテルで到達可能な1.5mm以上のAPCに対して15個以内の離脱制御型コイルでCEを行った.Fontan循環破綻回避のための肺血管拡張薬(平均肺動脈圧15mmHg以上)または在宅酸素療法(酸素飽和度Glenn術後70%以下,開窓Fontan術後90%以下)による補助有群11例と補助無群14例で比較しCEの目標値設定を試みた.
【結果】CE前後でAPC 1.72 ± 0.73 → 1.13 ± 0.79 l/min/m2(Wilcoxon検定,p=0.011)と有意に減少.補助有群/補助無群でCE前APC 1.59 ± 0.91 / 1.81 ± 0.56 l/min/m2,CE後APC 1.72 ± 0.73 / 0.68 ± 0.47 l/ min/m2. CE前後でAPCは補助有群で有意な減少を認めなかったが補助無群で有意に減少(Wilcoxon検定,p=0.657,0.001 ). CE前APCで補助有群と補助無群に有意差なかったがCE後APCで補助有群が有意に高値(Mann-Whitney検定,p=0.467,0.001).補助有無を区別するCE後APCのcutoff値は1.05 l/min/m2(ROC曲線,感度0.818,特異度0.786,AUC 0.883±0.067,95%CI 0.752-1.014,p=0.001).
【結語】Fontan手術候補患者には無視できないAPCが存在しCE前後の変化を位相差MRI流量分析で追跡可能であった.Fontan術後(CE後)APCを1 l/min/m2以下に制御できれば良好なFontan循環が期待できたが,肺血管拡張薬または在宅酸素療法による補助有群ではAPC遺残または再増加を認めた.