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[III-OR42-04] Fontan術前後から遠隔期における体肺動脈側副血管(APCA)の推移
キーワード:体肺動脈側副血管, コイル塞栓術, Fontan手術
【背景】単心室疾患群では、APCAによりFontan術後に容量負荷やCVP上昇を来し、胸腔ドレナージ期間の延長等に繋がるため、術前にコイル塞栓を行うことが多い。当院では主に内胸動脈からのAPCAで肺静脈まで造影されるものを対象に塞栓を行っているが、どこまで塞栓するかは術後のAPCAの推移も考慮する必要があると思われる。【目的】Fontan術前後から遠隔期のAPCA flowを比較し、その経過を明らかにすること。【対象と方法】2009年-2015年にFontan手術を行った163人を対象とした。APCAのシャント量を、造影所見から0点:APCA flowなし、1点:APCA flowが認められるが肺静脈は造影されない、2点:APCAから肺静脈が造影される、の3段階に点数化し、左右内胸動脈、左右鎖骨下動脈、下行大動脈の5か所のscoreの総和(0点-10点)を算出、術前後で比較した。【結果】対象のFontan手術時の平均年齢は3.17歳、原疾患はHLHS:33例、右室型単心室58例、左室型単心室:72例で、fenestrationを作成したのは1例のみであった。術前にコイル塞栓を施行したのは103例、塞栓なしが60例で、術後6か月の時点でAPCA scoreが不変または減少した症例が92.6%を占めた。scoreの平均はコイル施行群で術前:6.07±1.53→術後6か月:4.47±1.82点、コイル未施行群で4.32±1.69点→3.58±1.74点と推移し、術後のCVPは10.62±2.15 vs 10.70±2.01mmHgと有意差を認めなかった。術後5年以上経過して心カテを行った症例が31例あり、全例APCA scoreは術後6か月時に比し減少していた(平均4.41±2.01→1.45±1.17点)。MRIでAPCAを定量的に評価できた30例のうち、24例は術後flowが減少しており、同様の傾向であった。【結論】Fontan術後は、術前のコイル塞栓の有無に関わらずAPCAが減少する傾向にあり、遠隔期も同様であった。コイル塞栓は術後のAPCA増加を予防するよりも、術後急性期を安全に乗り切ることを目標とし、多少のflow残存は許容してよいと考える。