第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

カテーテル治療

一般口演 42 (III-OR42)
カテーテル治療 3

2017年7月9日(日) 09:20 〜 10:10 第6会場 (1F 展示イベントホール Room 6)

座長:矢崎 諭(榊原記念病院 小児循環器科)

09:20 〜 10:10

[III-OR42-05] 心臓カテーテル検査後の出血性合併症リスクと患児と付添者への負担の検討―早期抑制解除群と翌朝抑制解除群の比較―

岡本 愛美1, 柳川 眞規子1, 野口 薫1, 田川 絵梨菜1, 鈴木 直子1, 鈴木 啓之2, 武内 崇2, 渋田 昌一2, 末永 智浩2, 垣本 信幸2, 田村 直子1 (1.和歌山県立医科大学附属病院 小児医療センター, 2.和歌山県立医科大学 小児科)

キーワード:早期群, 出血性合併症, 付添者の負担

【背景・目的】A病院小児医療センターでは、心臓カテーテル検査(以下、心カテ)後の出血性合併症予防のため、心カテ終了後から翌朝まで砂嚢とバスタオルで穿刺側下肢抑制を行っている。しかし、同一体位での安静を強制されることで児が不機嫌となり安静確保が困難で、本人だけでなく付添者の負担は大きい。本研究は、出血性合併症の増加なく早期抑制解除が可能かを明らかにすることを目的とした。【対象・方法】本研究はA大学倫理委員会の承認を得ている。対象は、研究の同意を得た15歳以下の心カテを受けた児と付添者17名(抗血小板・抗凝固薬内服者を除く)。方法:年齢によって1歳未満、1歳から就学前、学童期の3グループに分けた。調査期間:平成28年6月~11月。各年齢グループ毎に心カテ終了後4時間に抑制を解除する群(早期群)と従来通り朝まで抑制する群(翌朝群)とに無作為に振り分け、出血性合併症(出血・内出血)の有無、下肢の循環状態や児の様子を調査した。付添者には不安や負担の程度、睡眠・食事状況について7段階評価の無記名の自記式質問調査を行った。【結果・考察】早期群10名、翌朝群7名で、年齢グループでは1歳未満4名、1歳~就学前9名、学童期4名であった。穿刺部の出血は両群ともに0%、内出血班は早期群10%、翌朝群0%であった。末梢冷感ありは両群ともに0%であった。両群間で合併症の出現に統計的有意差はなかった。質問紙の有効回答率は94%で、付添者の7段階評価でのアンケート結果を比較すると、何れの項目も統計的有意差はなかった。しかし、長時間抑制が児に苦痛を与えている訴えが多く記載され、早期に抑制解除することで児や付添者の負担の軽減に繋がると考えられた。【結論】症例数はまだ十分ではないが、出血性合併症の増加を招くことなく早期解除が可能であり、本人や付添者の負担の軽減が行えることが示唆された。さらに検討を継続したい。