第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

電気生理学・不整脈

一般口演 43 (III-OR43)
電気生理学・不整脈 2

2017年7月9日(日) 10:15 〜 11:05 第6会場 (1F 展示イベントホール Room 6)

座長:堀米 仁志(筑波大学医学医療系 小児科)

10:15 〜 11:05

[III-OR43-01] 先天性完全房室ブロックの疫学調査

住友 直文1, 三浦 大1, 澁谷 和彦1, 横川 直人2 (1.東京都立小児総合医療センター 循環器科, 2.東京都立多摩総合医療センター リウマチ膠原病科)

キーワード:完全房室ブロック, SSA, ペースメーカー

【背景】先天性完全房室ブロック (以下cCAVB) は, 約7-8割がペースメーカー (PMI) を必要とし, 約1-2割が死亡する重篤な疾患である. 本邦での疫学については不明な点が多い.
【目的】本邦のcCAVBの疫学調査を行う.
【方法】本学会所属の184施設にアンケート調査を行い, 2006年1月から2016年12月に発症したcCAVB症例数, 原因, 生存, PMI有無等につき集計を行った.
【結果】106施設より回答があり, 64施設がcCAVB症例を有していた (1~14例/施設). 11年間で cCAVB総数194例, うち抗SSA抗体関連 (SSA) は103例 (53.0 %), 器質的心疾患 (CHD) 合併のcCAVBは 31例 (15.9 %), 不明が60例 (30.9 %) であった. 生存は168例 (SSA 91, CHD 19), 生後死亡は20例 (SSA 8, CHD 10), 子宮内死亡は6例 (SSA 4, CHD 2) であった. CHD群はSSA群に比べて生後死亡率が有意に高かった (SSA 7.7 %, CHD 32.2 %, p<0.001). PMI率に差はなかった (SSA 77.6 %, CHD 83.8 %). SSA群の4例では前児で心ループスを認めた.
【考察】本調査ではcCAVBは約17例/年の症例を確認することができたが, 実際の発症はさらに多いと考えられる. 原因としては抗SSA抗体関連が最多であった. 生後死亡率は, SSA群よりCHD群で高率であった. 本パイロット調査をもとに, これから 抗SSA抗体関連cCAVBの臨床研究・予防治療を目的とした稀少疾患レジストリを立ち上げる予定である (文科省科研費:平成28年~32年度).