10:15 AM - 11:05 AM
[III-OR43-02] 母体自己抗体関連先天性房室ブロックと拡張型心筋症発症についての検討
Keywords:先天性房室ブロック, 拡張型心筋症, ペースメーカー
【背景】母体自己抗体関連の先天性房室ブロック(CAVB)は致死的な経過をたどる疾患だったが、ペースメーカーやカテコラミン投与により大幅に生存率が改善した。ただし、その中でも一定の割合で拡張型心筋症に至る例が見られる。【目的】拡張型心筋症や死亡に至る症例の臨床的特徴を明らかにする。【方法】1996年から2016年までに当院で出生した、複雑心奇形を伴わない母体自己抗体関連CAVB患児16例を対象とし、治療と経過について後方視的に検討した。【結果】全て胎児診断例で、在胎25±3.6週に徐脈を指摘された。胎児診断後、16例中7例でリトドリン、1例でプレドニゾロンを母体投与された。在胎35.5±2.2週、2708±517gで出生した。16例中13例が完全房室ブロックで、3例が2度房室ブロックだった。出生後イソプレテレノールを含むカテコラミン投与を行ったのは、完全房室ブロック13例中10例、2度房室ブロック3例中1例だった。残りの症例は心不全徴候を認めなかったため投与されなかった。16例中9例がペースメーカーを留置された。9例中6例は生後24時間以内に一時ペースメーカーが留置され、後日永久ペースメーカーに入れ替えた。残る3例は心不全進行のため生後320±198日でペースメーカーが留置された。16例中3例が拡張型心筋症を発症したが、全例発症前にペースメーカーが留置されていた。1例が生後7ヶ月で発症し、3才で心不全により死亡した。病理解剖で心内膜線維弾性症を認め、房室結節とHis束に石灰化と線維化を認めた。1例は9才で発症しCD36欠損が原因と判明した。1例は1才2ヶ月で発症し、利尿剤とACE阻害薬により、軽度心拡大は残るものの収縮能は保たれている。【考察】拡張型心筋症を発症した症例は全て、胎児期リトドリン投与、生後ペースメーカー留置、利尿剤、ACE阻害薬投与をされたが、発症は予防できなかった。拡張型心筋症発症には、徐脈や容量負荷以外の要因が関与している可能性がある。