10:15 AM - 11:05 AM
[III-OR43-04] 小児における房室結節領域の刺激伝導速度の検討
Keywords:房室結節, 伝導速度, transitional cells
【目的】近年optical mapping法の発達により、房室結節領域の伝導について新たな知見が得られるようになった。成犬による研究では、房室結節に刺激が到達する前の冠静脈洞入口部(CS os)と三尖弁輪の間の領域で伝導遅延が起こり、組織的にtransitional cellsの分布と関連があることが示された。今回我々は、この所見の小児への適応性について心臓電気生理検査により検討した。【方法】2016年3月から2017年1月の間、不整脈を有し当科にてカテーテルアブレーションを受けた小児を研究対象とした。基礎疾患のある例、中隔領域通電後の例は除外した。全身麻酔下にCARTO 3® を用いてHis電位記録部位(His)、CS os、CS osと同じ高さの三尖弁輪に隣接する心房筋(zone 3)、CS osと三尖弁輪との間を3等分し、それぞれの領域の境界をzone 1/2、zone 2/3として位置情報を記録した。β刺激薬を投与していない状態で右心耳の電極カテーテルから電気刺激を行い、心内電位上上記5点での刺激から局所心房電位までの間隔を測定した。CARTO 3®での位置情報を基に刺激部位からの距離を測定し、その間の刺激伝導速度を求め比較した。【結果】対象は10例(5-14歳、男女比5:5、通常型房室結節回帰性頻拍 3例を含む)。刺激部位からの刺激伝導速度(単位 cm/ms)はそれぞれHis: 7.97±1.11、CS os: 9.13±1.46、zone 1/2: 8.09±1.11、zone 2/3: 7.29±0.09、zone 3: 6.08±0.72と、CS osからzone 3に向かうに従い伝導速度の低下傾向が認められた(one way ANOVA、P<0.0001)。【結論】小児においてもCS osから三尖弁輪に向かうに従い伝導遅延が認められた。今後症例を集積し、加齢に伴う変化やdual AVN physiologyの有無での差などを検討したい。